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2016年11月29日 (火曜日)

博報堂事件で決定的な新事実が判明、問題の2015年度の政府予算は22億円だった、博報堂による約20億円の過剰請求に粉飾決算の疑惑が浮上

【サマリー】 広告代理店・博報堂が内閣府に対して、2015年度、約20億円もの過剰な広告費を請求した問題で、新たな矛盾点が見つかった。そもそも政府予算は全体で22億円しかなったことが判明。資金源が不明で、粉飾決算の疑惑が浮上したのである。

メディア黒書で報じてきたように、博報堂と内閣府は2015年度に約6700万円の予算でPR活動(新聞広告やテレビCMなどの制作)の契約を結んだが、実際には、博報堂からの請求額は20億円を超えていた。電通など他の広告代理店は、契約額と請求額が一致しているが、博報堂だけが、常識ではありえない規模の過剰請求をしていた事実が明らかになっている。

■裏付けの証拠となる請求書と契約書PDF(27ページに契約額が明記されている)

当然、この約20億円は、2015年度の政府予算から支払われなくてはならない。

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2016年11月28日 (月曜日)

博報堂・松田昇氏(元最高検察庁)の天下り歴、内閣府を舞台にした疑惑の調査は厳正に行われるのか?

【サマリー】内閣府を舞台とした博報堂の不正経理疑惑を最終的に解明する鍵を握るのは、検察などの捜査機関である。その検察から博報堂へ松田昇氏が天下りしている。果たして厳正な調査はできるのだろうか・・・

博報堂事件は2つの柱からなっている。

「アスカコーポレーションVS博報堂裁判」(第1ステージ)と、「内閣府の情報公開資料に見る博報堂の不正経理疑惑」(第2ステージ)である。第2ステージの焦点については、次の記事に詳しい。

参考記事:博報堂が内閣府に送付した契約書と請求書を分析する9つの視点

後半戦の第2ステージはこれからスタートするわけだが、懸念すべき要素がある。それは最高検察庁から退官後に博報堂に再就職(広義の天下り)している松田昇氏の存在である。

第2ステージは、内閣府における不正経理の問題が検証の対象になるわけだから、不正があれば当然、刑事事件になる。その時、天下りの存在が刑事告発の受理を妨げる懸念がある。

日本では学閥という前近代的な「制度」が依然として幅をきかせている。その結果、退官後も後輩を通じて公務に影響を及ぼす人物が重宝がられ、国家公務員が民間企業に天下ったりする。警察関係者らがパチンコ業界に天下っているのは有名な話だ。

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2016年11月25日 (金曜日)

「メディア王」電通をとりまくメディア状況が激変、背景にネットメディアの台頭

電通を中心に動いてきた日本のメディア業界の激変を、博報堂の元社員で、『原発プロパガンダ』(岩波新書)などの著書がある本間龍氏に解説してもらった。

 執筆者:本間龍(作家)

電通の落日が始まっている。広告業界のガリバーと讃えられ、スポンサーの代弁者としてメディアに圧倒的な影響力を誇ってきた同社に、ここ2ヶ月ほどの間に2度も本社や支社に捜査が入り、あっという間に「ブラック企業」の烙印を押されてしまったのだ。これは恐らく創業以来、初めての危機だろう。絶対王者として君臨してきた電通に何が起きたのかを検証する。

世間的には新入社員自殺事件によって「ブラック企業」としての悪名が拡まったが、実は同社の躓きは、昨年の夏から秋にかけて大騒ぎになった「五輪エンブレム事件」から始まっていたのだと私は考えている。

事の始まりは電通にとって「とるに足らない」レベルで、いつもの通りメディアもロクに報道せずうやむやになると踏んだのだろうが、電通の権勢が及ばないネット上のSNSの個人パワーはあっという間に既存メディアを巻き込み、一度は決まった公式エンブレムと佐野研二朗というデザイナーを失墜させ、電通の思惑を葬り去った。あれが全ての始まりだったと思われる。

東京五輪は全ての業務が電通の完全独占だから、当然エンブレム選定も電通の意向が働いていた。一度は公式エンブレムに選ばれた佐野氏の選考過程の不透明さが指摘され、さらには佐野氏自身のパクリ疑惑が問題視されての辞退となったのだが、電通から出向していた槙英俊マーケティング局長と、選考で審査委員を務めた企画財務局クリエイティブディレクターの高崎卓馬氏が責任を取る形で出向を解かれ、電通に戻った。

これだけでも電通の威信は相当傷ついたはずだ。ただし、この一連の騒ぎで電通の名前がメディアに出ることはほとんど無かった。佐野氏はフリーだからとことん叩けるが、その選定に関わった電通の存在について、ほとんどのメディアはスルーしていた。

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2016年11月21日 (月曜日)

博報堂事件(第2ステージ・公共機関編)の視点、博報堂が内閣府に送付した契約書と請求書を分析する9つの視点

サマリー】博報堂事件の第2ステージ(公共機関に対する博報堂の不正疑惑)で重点的に調べる項目を、内閣府から入手した次の書類を例に明らかにしておこう。現時点では検証を必要とする異常が9項目ある。これらの項目は、現在、博報堂と取引をしている民間企業に対して、注意を喚起するメディア黒書の報道目的とも合致している。

例として紹介するのは、次資料のである。

■2015年度分の博報堂から内閣府に対するPR活動に関する請求書

2015年度の内閣府と博報堂の年間契約額は、約6700万円である。(資料の27ページ参照)これに対して請求額の総計は、約20億3478万円である。約20億円の過剰請求となっている。しかも、過剰になった請求分の支出の根拠となる見積書などの紙面は一切存在しない。

この事実を前提に、資料の特徴を手短に解説してみよう。

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2016年11月19日 (土曜日)

博報堂の松田昇(最高検察庁からの天下り)氏に取材を申し入れ、内閣府に対する請求額20億円問題で

2015年度に博報堂と内閣府が交わしたPR業務の契約で取り決められた価格が約6700万円であるにもかかわらず、博報堂が年間で約20億円の請求を行い、しかも、過剰になった請求に対応する見積書を作成していなかった問題で、筆者は18日、博報堂と同社の外部取締役・松田昇(最高検察庁からの再就職・広義天下り)氏に対して取材を申し入れた。

申し入れ書の全文は次の通りである。

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2016年11月18日 (金曜日)

博報堂による前代未聞の過剰請求20億、天下りの松田昇・元検事は見解を示すべき

博報堂事件の報道は、第1ステージの「博報堂VSアスカコーポレーション」から、第2ステージである「公費の検証」に入った。「公費の検証」とは、公共機関に対する博報堂からの請求書や契約書の検証である。たとえば、博報堂が企画したイベントでどの程度の「税金」が、同社に流れたかといった問題である。請求額や請求方法に問題はないのかといった点を検証する必要がある。

博報堂が内閣府に送付した請求書と契約書のうち、2015年度のものを検証してみよう。結論から先に言えば、極めて不可解な請求を行っている。

請求額が契約書に明記された金額を大幅に超えている事実があるのだ。その額は尋常ではない。

2015年度の年間契約額は、6701万58円である。これに対して、博報堂が実際に内閣府に請求した額は、20億3478万9949円である。しかも、この請求額には、テレビCMの請求分は含まれていない。

請求額が契約額をオーバーすること自体は、特に珍しいことではないが、その場合、どのような理由で請求額が超過したのかを裏付ける何らかの書面を作成するのが常識だ。たとえば見積書である。ところが博報堂はそうした書面は作成していない。少なくとも内閣府には存在しない。

また、全請求書に日付けが明記されていないことも特筆しておく必要がある。これについては、今後、取材を進める。

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2016年11月17日 (木曜日)

博報堂が内閣府に送付した請求書の解析、新聞広告に対する不可解な請求方法、年度末にまとめて請求、昨年は約20億円

筆者が内閣府に対して情報公開を請求していた資料が14日に開示された。
開示されたのは、博報堂が内閣府に対して送付した2016年度(16年4月から17年3月)の全請求書である。どのような広報活動に対して、どの程度の「税金」が使われているかを調査するのが、情報開示を求めた理由である。

今回、開示された請求書は5枚。タイトルは全て次のようになっている。

「モバイル携帯端末サイト等を活用した『官公庁専用ゲートアド』広告掲載料」

価格は、月によって若干の差があるが、約435万円である。この価格をどう解釈するかは別として、今回の情報公開請求については、次の重大な疑問点も指摘しておかなければならない。

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2016年11月14日 (月曜日)

今日、内閣府が博報堂関連の内部資料を情報開示、浮上している3つの検証点

内閣府から14日(月)に、博報堂に関するいくつかの内部資料が開示される。これは情報公開制度に基づいた手続きで、わたしが申し立てた情報公開請求に応えるものである。

開示される資料は、2種類ある。まず第1の資料は、博報堂が内閣府に対して送付した全請求書のうち、2013年度分、2014年度分、2016年度分である。これらの請求書により、どの程度の金銭を博報堂が国に請求したかが判明する。

ちなみに既に入手している2015年度分の請求書によると、2015年度は、約20億35万円である。ただし、この数字には、テレビCMの金額は含まれていない。

第2の資料は、2015年度分の公共のテレビCM(国策のPR)の放送確認書である。放送確認書とは、テレビCMの放送状況を示す公式の書面のことである。証書の意味を持つ。ここに表示された記録を見れば、CMが放送されたか、それとも休止になったかが分かる。念を押すまでもなく、放送された場合は、放送された時間帯も書面に印字される。

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2016年11月11日 (金曜日)

疑惑に満ちた横浜市の「開国博Y150」、博報堂JVとの契約額は約62億円

博報堂事件で新たな検証点が浮上している。

2009年4月28日から9月27日までの日程で、「開国博Y150」と題する博覧会が横浜市で開かれた。主催者は、「財団法人横浜開港150周年協会」(以下、協会)で、この団体の監督官庁は神奈川県だった。

「開国博Y150」にも、イベントの企画者として、博報堂がかかわっていたことが分かった。

このイベントは、当初、500万人の有料入場者数を達成することを目標に立案されたが、実際は123万人の入場者しかなかった。その結果、協会は巨大赤字を抱え込んだ。当然、未払い金が発生する。それが引き金になって、裁判所が介入した6件の係争が勃発したのである。

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2016年11月09日 (水曜日)

公的問題を孕んだ質問には回答しない広告関係者、日本広告審査機構が回答拒否

電通の長時間労働など、広告業界の不祥事が次々と発覚する状況の下で、10月24日に日本広告審査機構(JARO)に提出した質問状の回答が、8日にメールで届いた。この回答は、同機構の井尻靖事務局長に宛てた質問状に対するもので、2度目の回答である。最初の回答は、不思議なことに、10月27日に博報堂の広報部から届いた。日本広告審査機構に対する質問が、博報堂から届いたのである。

最初の回答は、「井尻は博報堂に在籍する社員であり、お尋ねの件(ご質問の①~⑤)も博報堂の井尻に対するものです。当社では社員に関するご取材、お尋ねにつきましては広報からご回答申しあげることとなっており、本件に関しましても広報よりご回答する次第です」と前置きした上で、アスカコーポレーションとの係争中を理由に拒否してきた。

その後、11月8日になって、今度は日本広告審査機構からメールで回答が届いた。回答者は総務部長の地主正人氏だった。上記①~⑤の博報堂に対する質問項目とは別の同機構に対する質問項目⑥~⑨に対する回答である。ちなみに⑥~⑨の質問項目は次の通りである。

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2016年11月08日 (火曜日)

広がる博報堂事件のすそ野、民間企業から省庁・地方自治体にいたるまで疑惑の山

博報堂とアスカコーポレーション(以下、アスカ) の裁判が始まって1年が過ぎた。

最初の裁判は、博報堂がアスカに対して、約6億1000万円の未払い金の支払いを求めたものだった。博報堂は、2005年頃から、アスカのPR業務を独占して請け負い、テレビCMをはじめ通販情報紙の制作、新聞折込、それにイベントなどを企画してきた。

ところが2014年ごろから、アスカの資金繰りが悪化して、支払いがスムーズにいかなくなった。そこで覚書や支払い計画を制作するなど、両者の間で交渉が続いていたが、博報堂の態度が硬化して、アスカに対し公正証書の作成を求めたり財務資料の提出を求めるようになった。さらにアスカの銀行口座を差し押さえた。

そして2015年10月に博報堂がアスカに対して、俗に言う「6億円」訴訟を提起したのだ。

これに対して係争に巻き込まれたアスカは、博報堂との過去の取引を精査せざるを得なくなった。段ボールなどに保管していた大量の商取引に関する書類を調べたところ、次々と疑惑がもちあがってきたのである。

そこでアスカは、博報堂に対して2016年5月、約15億3000万円の過払い金の返済を求める裁判を起こした。俗に「15億円」訴訟という。ちなみにこの裁判は、「6億円」訴訟に対する反訴ではない。アスカが原告となって起こしたのである。2つの裁判の統合は行われていない。

さらにアスカは、2016年8月に、偽装した視聴率を記入した番組提案書(CMなどの制作が目的)で、博報堂から放送枠を買い取らされたとして、取引の無効と返金を求める裁判を起こした。請求額は約47億9000万円。俗に「48億円訴訟」と呼ぶ。

以上が博報堂とアスカの係争の構図である。

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2016年11月04日 (金曜日)

博報堂から陸上自衛隊に対する不自然な請求額、2重請求の疑惑も

博報堂による公費請求の実態を検証してみよう。11日付けのメディア黒書では、自衛隊音楽まつりの企画(陸上自衛隊)に関連した出費の不自然な増加に焦点を当てたが、今回は、「広報コンサルタント」を名目とした出費を検証してみよう。

結論を先に言えば、広報コンサルタント委託料が不自然に高額であるだけではなく、2重請求を疑わせる事実もある。次に示すのが、明細である。

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2016年11月01日 (火曜日)

防衛省に対する博報堂からの請求、自衛隊音楽まつりの企画が4373万円にも、公金の無駄遣いの典型

筆者は、博報堂が2008年から2016年までの期間に、防衛省(本部)に送付した請求書のすべてを入手した。このうち陸上自衛隊に関する請求を精査したところ、ある興味深い事実が浮上した。

これらの請求書の解釈については、多様な視点があるが、本稿では、「自衛隊音楽まつりの企画演出等薬務」の名目で、博報堂が請求した額の変遷を検証してみよう。好奇心を刺激するある事実が浮き彫りになる。

次に示すのは、請求項目と請求額を日付け順に並べたものである。緑のマーカーの箇所に注目してほしい。

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