1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2020年09月21日 (月曜日)

朝日新聞が400万部の時代に突入、折込広告の減少がボディーブローに 

FACTAが、『朝日新聞が遂に500万部割れ 実売は「350万部以下」か』と題する記事を掲載している。新聞の衰退が加速していることが改めてクローズアップされた。

朝日新聞のABC部数が、500万部を割った。かつて新聞の発行部数の序列といえば、「読売1000万部」、「朝日800万部」と言われていた。しかし、8月のABC部数で朝日新聞は、「400万部」の時代に入った。今後も、右肩下がりの傾向が続く可能背が極めて高い。

数カ月前から朝日の500万部割れは秒読み段階に入っており、9月にそれが現実となった。最新のABC部数表は、近々に入手して、メディア黒書で公開する。

続きを読む »

2020年09月16日 (水曜日)

福岡高裁が和解を提案、佐賀新聞「押し紙」裁判の第1回口頭弁論

佐賀新聞販売店の元店主・寺崎昭博さんが起こした「押し紙」裁判の控訴審・第1回口頭弁論が、15日午後、福岡高裁で開かれた。裁判所は、双方に対して和解を提案した。

それに先立って、一審原告側が口頭で意見陳述を行った。

江上武幸弁護士は、「押し紙」を柱とした新聞の商取引きの仕組みについて解説した。佐藤潤弁護士は、控訴理由書の要旨を説明した。さらに原告の寺崎さんは、「押し紙」でみずからが受けた被害について述べ、「もうこれ以上同じような思いをほかの人にして欲しくありません」と締めくくった。

続きを読む »

2020年09月14日 (月曜日)

15日に控訴審、佐賀新聞「押し紙」裁判、一審原告が陳述書を提出、「営業には予備紙2%で十分」

佐賀新聞の「押し紙」裁判の控訴審は、15日の13:30分から福岡高裁の1015号法廷で開かれる。これに先だって、一審原告の寺崎昭博さんは、10日、裁判所へ陳述書を提出した。

この陳述書は、佐賀新聞の販売局員の陳述内容と原審被告の控訴理由書に対する寺崎さんの反論である。その中で、寺崎さんは佐賀新聞による優越的地位の濫用がどのようなものであるかを具体的に述べている。「押し紙」の手口、新聞の供給部数と折込広告の関係、販売店に対する威圧的な指導、寺崎さん個人に対する誹謗中傷などの実態を取り上げている。

■寺崎陳述書全文

続きを読む »

2020年09月09日 (水曜日)

1年間で214万部減る、東京新聞社が5社倒産に相当、日刊紙の総発行部数、7月度のABC部数、朝日は来月にも400万部台に転落の可能性

2020年7月度のABC部数が公表された。それによると新聞発行部数の急減にはまったく歯止めがかかっていない。

朝日新聞は、この1年で約44万部の減部数。500万部のラインまで約1万3000部となり、8月部数で400万部台に転落する可能性が高くなった。このひと月で、約4万4000部を減らしている。

読売新聞は、この1年間で48万部を減らした。1年以内に600万部台に後退する可能性が高い。

7月度の部数内訳は次の通りである。()内は、前年同月比。

 

続きを読む »

2020年09月07日 (月曜日)

9月15日に控訴審、佐賀新聞「押し紙」裁判、原告が控訴理由書を提出、「『押し紙』そのものが契約違反」

佐賀新聞の元店主・寺崎昭博さんが佐賀新聞社に対して起こした「押し紙」裁判の控訴審が、9月15日に福岡高裁で開かれる。詳細は次の通りである。

日時:9月15日 13時30分~

場所:福岡高裁、1015法廷
※だれでも傍聴できる。

第1審(佐賀地裁)は、原告・寺崎さんの勝訴だった。佐賀地裁は、佐賀新聞社に対して、「被告の原告に対する新聞の供給行為には、独禁法違反(押し紙)があったと認められる」と認定して、1066万円の支払いを命じた。

【参考記事】佐賀新聞「押し紙」裁判、判決の公開と解説、佐賀新聞社の独禁法違反を認定

 

第1審判決に対して原告と被告の双方が控訴している。

【解説】
1審原告・寺崎さんの弁護団(江上武幸弁護士ら)は、佐賀地裁が佐賀新聞社による独禁法違反を認定したことについては高く評価している。しかし、その認定に整合した法的判断が行われていない箇所については判決を見直すこと、寺崎さんが受けた損害額の計算方法を見直すこと、さらには「押し紙」そのものが契約書違反に該当することなどを主張している。

控訴理由書の全文は、次の通りである。

■1審原告の控訴理由書全文

以下、特に重要な3点をクローズアップしてみよう。

続きを読む »

2020年09月03日 (木曜日)

9月8日に結審の予定、産経新聞の「押し紙」裁判、東京地裁

 千葉県内の元販売店主が起こした「押し紙」裁判(東京地裁)が9月8日に結審する。この裁判は、既報したように本人尋問と証人尋問が終わった後、裁判所が産経新聞に対して和解を勧告していたが決裂。そのまま結審の予定になっていたが、コロナウィールスの感染拡大で裁判所が閉鎖され、日程も未定になっていた。

続きを読む »

2020年09月01日 (火曜日)

読売の残紙とABC部数、「押し紙」であろうが残紙であろうが不正の温床に

既報したようにYC門前駅前(読売新聞・販売店)の元店主が、8月7日に、「押し紙」の損害賠償を求める裁判を起こした。読売が店舗の残紙が「押し紙」であるとは認めていないので、本稿では単純に残紙という言葉を採用するが、その割合は、搬入部数の約5割にも達していた。

しかも、読者数が変動していたにもかかわらず、搬入(供給)部数は一定にロックされていた。

■訴状

■「押し紙」一覧

裁判では、当然、これらの残紙が「押し紙」なのか、それとも予備紙なのかという点がひとつの争点になると思われるが、ジャーナリズムの観点からいえば、別の問題もある。仮に店舗に残っていた残紙が予備紙だとすれば、読売新聞社は免責されるのだろうか?

と、言うのも残紙はABC部数に反映される制度になっているので、ABC部数と実配部数に乖離があることを知らない広告主が、紙面広告や新聞折込をPR媒体として採用した場合、PR戦略を誤るリスクが高くなるからだ。広告主との関係で、残紙問題を問題をとらえると、公序良俗に違反する問題なのである。

また、このようなABC部数の実態が公になると、広告媒体としての新聞の信用が失墜して、新聞社も販売店もクライアントを失うことになりかねない。いわば過剰な部数を発生させることは自殺行為に等しい。

続きを読む »

2020年08月30日 (日曜日)

動画で見る「押し紙」回収の実態、「押し紙」回収が産業として成り立つ異常

ビニール梱包が解かれていない新聞束を、1日に10包装も20包装も古紙回収業界に回収させる行為が日常的に行われるようになったのは、おそらく1980年代からである。当然、「押し紙」とセットになっている折込広告や自治体の広報紙も廃棄されている。

それにもかかわらず日本新聞協会は、「押し紙」の存在そのものをいまだに否定している。延々と従来の商慣行を放置している。その結果、いまや「押し紙」回収業がひとつの産業として成り立っている。

この社会問題を理解するための最初のステップは、まず、「押し紙」回収の現場を見ることだろう。以下、現場を撮影した2本の動画を紹介する。その異常な実態が即座にわかる。

続きを読む »

2020年08月28日 (金曜日)

独禁法に忠実に則した「押し紙」の定義を紹介、週刊金曜日の最新号

本日(28日)発売の『週刊金曜日』の「金曜アンテナ」欄が、黒薮執筆の「『読売』を元販売店主が提訴」と題する記事を掲載している。最新の対読売裁判の争点について解説した。「押し紙」の定義が従来のものから修正される可能性が浮上しており、その背景について解説した。

今後の「押し紙」問題を考える上で、新しい視点なので購読してほしい。

続きを読む »

2020年08月15日 (土曜日)

「押し紙」で読売新聞を提訴、元販売店主…供給部数の5割が“残紙”、業界の闇が明るみに

《ビジネスジャーナル掲載》元新聞販売店主が読売新聞大阪本社から過剰な部数の新聞の仕入れを強制されたとして、8月7日、約4120万円の損害賠償を求める「押し紙」裁判を起こした。原告の元店主、濱中勇志さんは、広島県福山市で2012年4月から6年あまりYC大門駅前を経営していた。

大阪地裁へ提出された訴状によると、請求の対象期間は17年1月から18年6月までの1年6カ月。この間、供給される新聞の約5割が残紙となっていた。しかも読売新聞社が販売店へ供給していた部数は、読者数の変動とはかかわりなく毎月2280部でロック(固定)されていた。

「押し紙」裁判が多発するなかで、新聞の供給部数が1年以上もロックされ、しかも、約半分が残紙になっていたケースはまれだ。【続きはビジネスジャーナル】

続きを読む »

2020年08月12日 (水曜日)

「押し紙」問題に本腰を入れた小坪慎也議員、「戦えば戦死するリスクもある」

小坪慎也・行橋市議が「押し紙」問題の解決へ本腰をあげた。5月に佐賀地裁が地元の佐賀新聞社に対して独禁法違反を認定したことや、8月にYC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志氏が読売新聞社に対して「押し紙」裁判を起こしたことを受けて、政治家として社会正義を実現するために活動を開始することを宣言したのだ。

次のブログがその表明である。

続きを読む »

2020年08月08日 (土曜日)

【速報】元販売店主が読売新聞社を提訴、「押し紙」で4120万円を請求、残紙率50%、供給部数を1年6か月のあいだロック

【速報】YC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志氏は、7日、読売新聞社に対して約4120万円の損害賠償を請求する「押し紙」裁判を大阪地裁へ起こした。訴状によると、請求期間は2017年1月から18年の1年6か月。この間の供給部数は、読者数の変動とはかかわりなく、2280部でロックされていた。「押し紙」率は、49.47%になる。

 

濱中氏の代理人は、江上武幸弁護士ら「押し紙」弁護団が務める。

詳細は、近々に報告する。

訴状と「押し紙」一覧は次の通りである。

■訴状

■「押し紙」一覧

 

 

続きを読む »

2020年07月28日 (火曜日)

「押し紙」も「積み紙」も広告主にとっては、「折り込め詐欺」の温床に

左の写真は残紙である。しかし、この販売店に限って言えば、その責任の所在が販売店にあるのか、新聞社にあるのかは分からない。確実にいえることは、残紙の最大の被害者は広告主である点だ。

読者は、新聞の「押し紙」と「積み紙」の違いをご存じだろうか。

「押し紙」というのは、新聞社が販売店に対して仕入れを強制した新聞のことである。たとえば1000部しか配達していない販売店に、1500部を搬入して、卸代金を徴収すれば、500部が「押し紙」ということになる。独禁法の新聞特殊指定は、「販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給する」行為を禁止している。

続きを読む »