1. 「押し紙」の実態

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2020年06月15日 (月曜日)

【独占スクープ】これが新聞残紙の実態だ!! 読売センター成東実録レポート

執筆者:鈴木まさや(山武ジャーナル)

 

【目次】
1. 荷降ろしした新聞の一部が作業場に運ばれず、店先に積み上がる

2. 読売センター成東・齋藤ニュースサービスで朝刊として配達されていない部数は、少なくとも600部。実売部数は公称の半数程度か?

3. 齋藤ニュースサービスだけで山武市が年間に被る損害は最低40万円?

4. 配達しない部数の折込料金を取る「折り込め詐欺」を許すな!! 山武市は本格的に対応を

5. 内部告発受付

山武市広報の折込事業を取り仕切る「山武市新聞折込組合」の代表で、読売センター成東を運営する(有)齋藤ニュースサービス(代表:齋藤逸朗)が、大量の配達されない新聞を古紙回収車に積み込む現場を山武ジャーナルが公開し、山武市から広報誌の折込料が過大に支払われ、一部が市民に届かず古紙として処分されている可能性を指摘してちょうど1年が経過したが、これまで山武市はこの問題について何ら調査・検証を行ってこなかった。

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2020年06月12日 (金曜日)

7月8日に国会議員会館で「押し紙」問題の学習会「残紙と独禁法」、自民党の大物議員も登壇、新聞発行部数の嘘を暴露

佐賀新聞の元店主・寺崎昭博さんが起こした「押し紙」裁判で、裁判所が佐賀新聞社による独占禁止法違反を認定したのを受けて、7月8日に東京永田町の国会議員会館で、「残紙と独禁法」と題する学習会が開催される。

この企画は小坪慎也・行橋市議(福岡県)の提案に、筆者や寺崎さんの弁護団が賛同するかたちで開催される。イデオロギーの違いを超えた共闘で、当日は寺崎さんと弁護団のほか、自民党の大物議員も登壇する。

筆者は、東京23区における区の広報紙の水増しの実態を報告する。情報公開請求で入手した生の資料も配布する。事前予約なしに誰でも参加できる。

スケジュールは次の通りである。

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2020年06月06日 (土曜日)

公共放送局NHK,常に「安全地帯」からの報道、40年遅れた「押し紙」「積み紙」問題の告発

NKHがはじめて「押し紙」問題を報じた。佐賀地裁が5月15日に、佐賀新聞による「押し紙」政策を独禁法違反と認定する判決を下した直後、インターネットで報じたのである。

わたしにとっては予想外の報道だった。もう10年ぐらい前になるが、NHKに「押し紙」問題を持ち込んだところ、資料の受け取りを拒否されたことがあったからだ。それほど、「押し紙」問題に対する拒否反応が強かったのだ。当時、雑誌がさかんに「押し紙」問題を報じていたから、知らないはずはなかったはずだが。

資料の送付先を尋ねても、担当者の名前も部署も明かさない。かりに一方的に資料を送付すれば、紛失する可能性があるので、資料を送付しないようにとの注意まで受けた。何を恐れているのかさっぱり分からなかった。よほど「押し紙」問題とはかかわりたくなかったようだ。

NHKが本気で「押し紙」「積み紙」の報道をすれば、この問題はすぐに解決するが、裁判で新聞社による独禁法違反を認定するまで報じなかったのである。タイミングが40年ほど遅れだ。「安全地帯」に到着してから、報じても遅いというのがわたしの実感だ。【続きはウェブマガジン】

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2020年06月05日 (金曜日)

新聞の無料配布、中央紙から地方紙まで、ABC部数のかさ上げが目的か?

新聞を無料で提供する慣行がいつのまにか定着した。ホテルのロビーに朝刊が山積みになっている光景はすっかり定着した。

これらの新聞は、ホテルが一旦仕入れたものを、客に無料配布しているのか、それとも新聞社サイトがPR用に無料で提供しているのかは不明だが、いずれにしても問題がある。仮に仕入れたものであるとしても、読者の実態が不明なPR紙がABC部数に加算されているからだ。

新聞社にとってABC部数の維持は新聞社経営の中心的課題である。と、いうのもABC部数の規模に応じて紙面広告の価値が決まるからだ。民間企業との広告取引では、この基本原則は崩壊の方向へ向かっているが、内閣府などが出稿する公共広告は、厳密にABC部数のランクによって、広告費が割り当てられている。

従って残紙(「積み紙」「押し紙」)政策を続けたり、ホテルなどにPR紙を搬入することで、新聞社はABC部数を維持して、紙面広告の価値を維持する販売政策を取っているのだ。

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2020年06月02日 (火曜日)

NHKが「押し紙」問題を報じた奇跡、「押し紙」は集団訴訟で解決を

『週刊金曜日』(5月29日)が佐賀新聞の「押し紙」裁判で、佐賀新聞の独禁法違反が司法認定されたことを報じている。タイトルは、「佐賀新聞社の押し紙実態を裁判所が断罪、『販売店犠牲に収入増』認定」。執筆者は鹿児島大学の宮下正昭准教授である。

佐賀地裁が下した歴史的な判決を高く評価すると同時に、この事件をマスコミがどう扱ったかに言及している。テレビが初めて「押し紙」問題を取り上げたことを高く評価している。「押し紙」問題はテレビが絶対に扱わなかったテーマだった。例外的にコメンテーターが談話の中で言及したことはあるそうだが、「押し紙」裁判を取り上げたのは初めてである。

『週刊金曜日』の記事によると、「NHK佐賀放送局と県内唯一の地上波民法テレビ・佐賀テレビが報じた」という。

■NHKの報道

※佐賀テレビの画像はすでに削除されている。

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2020年05月26日 (火曜日)

ASA宮崎大塚の「押し紙」裁判の再検証、独禁法に抵触していた高い可能性、朝日新聞社が注文部数を指示していた事実

佐賀新聞の「押し紙」裁判で、佐賀新聞による独禁法違反が認定されたことを受けて、過去の「押し紙」裁判の資料を再検証してみた。このうち朝日新聞のASA宮崎大塚の店主が起こした「押し紙」裁判(途中から本人訴訟、敗訴)では、店主の敗訴だったが、明らかな独禁法違反の証拠が残っていることが分かった。少なくともわたしの解釈では、独禁法違反である。

◆◆
この点に言及する前に、佐賀地裁の判決に関して特に重要な2点を指摘しておこう。

【1】佐賀地裁は、佐賀新聞が全店を対象とした一斉減紙を行ったことを認定した。一斉減紙の時期と部数は次の通りである。

2009年2月:1491部
2010年3月:1148部
2013年3月:1743部
2014年4月:2965部
2016年2月:3608部

独禁法の新聞特殊指定は、「販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給すること」を禁止している。佐賀新聞の場合は、一斉減紙の例に見るように発行本社が搬入部数を調節していたわけだから、完全に独禁法に抵触する。

【2】佐賀地裁は、販売店が必要な予備紙の定義を「原告が実際に原告販売店を経営する上で必要としていた」部数と認定した。原告は繰り返し予備紙は搬入部数の2%で十分であると言っていたので、予備紙は搬入部数の2%という計算になる。他の残紙は、理由のいかんを問わずすべて「押し紙」である。

◆◆◆
以上の点を踏まえたうえで、ASA宮崎大塚が朝日新聞に対して起こした「押し紙」裁判で、明らかになった興味深い資料を紹介しよう。

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2020年05月25日 (月曜日)

「押し紙」訴訟弁護団が販売店のための無料相談窓口を開設

新聞販売店のトラブル解決で、実績を重ねてきた「押し紙」訴訟弁護団(代表・江上武幸弁護士)が、 新聞販売店のための無料相談窓口を開設した。対象は、被害を受けている現役の店主と余儀なく廃業に追い込まれた元店主。

詳細は、次のURL。

■弁護士による無料相談窓口

窓口が開設された背景には、残紙による損害と折込広告の激減で、経営が悪化している販売店が急増している事情がある。相談は無料。平日の午前10時~午後5時まで(但し、昼の休憩時間を除く)相談を受け付けている。専用電話は、0942-39-3309

また、メディア黒書も弁護団と連携して、希望者にアドバイスを行う。電話は、048-464-1413である。Eメールは、xxmwg240@ybb.ne.jp

 

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2020年05月24日 (日曜日)

地方紙の「押し紙」と折込媒体の水増し問題、元販売店員へのインタビュー

 新聞販売店で働く人は、残紙問題、労務問題、メディアをどのように見ているのだろうか。Aさん(女性)の例を紹介しよう。在職期間は、2015年5月から2017年10月である。勤務先は、地方紙の販売店である。

・・・現場で働いていたとき残紙や折込広告の水増しと廃棄について、どう感じましたか?

A:仕事をはじめてまもなくに、奇妙な二つのことに気付きました。ひとつは配達後に新聞が相当余っていることでした。ひとつの新聞の梱包は60部、あるいは80部のいずれかなのですが、その梱包が10個以上も解かれないまま残っていました。

わたしは在職中に他の販売店に異動しましたが、そこでもやはり同じ光景を見ました。10個ぐらいの梱包が毎日残っていました。

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東京・豊島区の広報紙水増し問題、2018年度の水増し率は30%、背景に「押し紙」による新聞販売店の経営悪化

豊島区の広報紙『広報としま』が大幅に水増しされている問題で、過去10年分の関係資料を入手した。詳細については、検証が完了した段階で公表するとして、今回は、2018年度のケースに絞って報告する。

朝日、読売、毎日、産経、日経、東京の6紙が折り込み媒体となっている。卸部数は総計で7万8765部である。これに対して、ABC部数(2018年4月)は、5万4778部である。次に示すのが裏付けだ。

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「押し紙」認定の判例、2007年の対読売新聞裁判、PC上に架空の配達区

新聞販売店が起こした訴訟の中で、「押し紙」が認定されたケースは、これまでに3件ある。2006年の福岡地裁、2011年の岡山地裁、そして2020年の佐賀地裁である。

このうち福岡地裁のケースは、その後、2007年12月に最高裁で判決が確定した。福岡高裁の判決は有名で判例タイムズ(2008年6月1日)にも掲載されている。

真村裁判・福岡高裁判決

◆◆◆
しかし、真村裁判は「押し紙」の損害を求めた裁判ではなく、店主の地位保全を求めた裁判である。YC広川(福岡県)の真村久三さんが、2002年に読売新聞・西部本社を訴えた裁判である。

発端は、真村さんが読売本社から自店の営業地区の一部を、隣接するYCへ譲渡するように求められたことである。真村さんは理不尽な要求を断った。これに対して読売は、真村さんの店主としての地位を解任しようとした。そこで真村さんが地位保全を求めて提訴したのである。

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2020年05月16日 (土曜日)

佐賀新聞「押し紙」裁判、判決の公開と解説、佐賀新聞社の独禁法違反を認定

既報したように佐賀新聞の「押し紙」裁判で、原告の元販売店主・寺崎昭博さんが勝訴した。佐賀地裁は佐賀新聞に対して、寺崎さんに約1066万円を支払うように命じた。

この判決の最大の評価点は、裁判所が単に寺崎さんが受けた被害だけではなく、86店ある佐賀新聞の販売店の大半で同じ被害が発生している高い可能性を具体的に指摘したうえで、「被告の原告に対する新聞の供給行為には、独禁法違反(押し紙)があったと認められる」と、認定したことである。佐賀新聞の販売店が一斉に「押し紙」裁判を起こせば、勝訴する道が開けたのである。

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2020年05月15日 (金曜日)

【臨時ニュース】佐賀新聞の「押し紙」裁判で原告の元店主が勝訴、1066万円の賠償命令

【臨時ニュース】

佐賀新聞の元店主が起こした「押し紙」裁判で佐賀地裁は、15日、原告の元店主に対して1066万円の支払いを命じる判決を下した。「押し紙」裁判で勝訴判決が出たのは、2011年の山陽新聞の「押し紙」裁判以来。和解で販売店が勝訴するケースは相次いでいたが、裁判所が判決を下したのは9年ぶり。今後の「押し紙」裁判に大きな影響を及ぼしそうだ。

判決の詳細、判決文、弁護団声明は後日。

 

■佐賀新聞の「押し紙」裁判に関する全記事

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折込広告の水増し詐欺の露骨な手口、「4・10(よんじゅう)増減」の全容(2)

ABC公査で不正を摘発されない体制を構築すれば、新聞社はABC部数をどうにでも操作できる。新聞社が販売店へ送り込んだ部数が、そのままABC協会へ申告され、ABC部数として認定される。さらにそれが折込定数になるわけだから、自由自在に折込媒体の水増しが可能になる。

広告主企業の中には、このような構図に気づいている企業もあるが、自主的に折込媒体の発注枚数を折込定数よりも少なめに設定するだけで、新聞社に抗議したという話はない。

わたしは複数の広告主から、その理由を聞いたことがあるが、共通して「新聞社とはトラブルになりたくない」という答が返ってきた。新聞社は社会的な影響力があるので、新聞社と係争になると、折込広告や紙面広告を出稿しづらくなる上に、紙面でバッシングされるリスクがあるからだ。それゆえに抗議しない。

しかし、大半の広告主企業は、この欺瞞的な実態そのものを知らない。そこへつけ込んで、大胆にABC部数を捏造する新聞社もある。そのための変形した手口が、「4・10(よんじゅう)増減」と呼ばれるものである。これは露骨な「折り込め詐欺」にほかならない。

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