1. 「押し紙」の実態

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2019年11月04日 (月曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、原告が証人尋問でABC部数の問題を追及

11月1日に佐賀地裁で行われた佐賀新聞社を被告とする「押し紙」裁判の証人尋問が行われた。その中で、佐賀新聞の元販売局員が、販売店主らの集まりで講演し、予備紙数を減らす方法を教示していたことが明らかになった。原告の江上武幸弁護士による追及で明らかになった。ただ、その目的について元販売局員は明確な回答を避けた。

予備紙を減らす方法とは、残紙を有代紙のように見せかける方法を意味している可能性が高い。つまり「押し紙」を隠して、ABC考査で不正を指摘される事態を回避することが目的だと思われる。

講演の内容は文書としても残っている。詳細については、尋問調書を閲覧したうえで論評するが、ABC部数の問題が法廷へ持ち込まれたのである。

1日の尋問には、40人を超える人々が傍聴に訪れた。この中には、鹿児島県の南日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の原告店主らの姿もあった。

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4月と10月になると「押し紙」が増える理由、折込広告の水増し行為と表裏関係に

産経新聞の元店主が言う。

「折込広告の水増し問題を指摘されると、新聞社は異常に神経質になります。『押し紙』問題の比ではありません。折込広告の水増し問題は、『押し紙』問題とは異なり、新聞業界の外にいる広告主が憤慨する問題であるからです。折込広告の問題が浮上すると、新聞各社が情報を共有しているとも聞いています。新聞業界全体の運命に関わる大問題であるからです」

そのオリコメ詐欺がいま急激に問題視されるようになってきた。

11月1日に行われる佐賀新聞を被告とする「押し紙」裁判の尋問(佐賀地裁・10時~16時半)でも、ABC部数の中身が検証されるものと見られる。

また、折込広告の水増し問題について、ある市民が筆者に公益通報したところ、しぶや総和法律事務所の鈴木裕二弁護士が、公益通報者に対して提訴などをほのめかしながら、情報源を明かすように求めてきた。その「恫喝文書」の一部を紹介しよう。

 本来であれば、貴殿に対し、直ちに民事上および刑事上の責任を追及するところですが、通知人としては、まず上記記事を投稿した経緯や上記画像の入手方法等について貴殿から事情を伺い、そのうえで今後の対応について検討しようと考えております。つきましては、本書面を受領してから7日以内に、弁護士鈴木宛て(03ー6416ー1933)にご連絡くださるようにお願いいたします。

しかし、公益通報者はひるまなかった。さらにオリコミ詐欺の実態を公益通報したところ、弁護士から音沙汰がなくなった。この問題を暴露されるのが恐いのだろう。新聞業界の決定的な問題点を突いているからだ。係争に広告主を巻き込まれたら、収集がつかなくなるからだろう。

公益通報者を支援している筆者としては、その後、オリコミ詐欺に関する新しい情報を入手した。それを根拠に攻勢をかける予定だ。

弁護士に依頼して、公益通報者にプレッシャをかけた人物の素姓や職業、経歴もすべて把握している。ある団体の役員を務める公人である。

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2019年10月22日 (火曜日)

折込広告の水増し問題(オリコメ詐欺)が法廷へ、佐賀新聞の「押し紙」裁判、11月1日と15日に証人尋問

佐賀新聞を被告とする「押し紙」裁判の証人尋問が、11月1日と11月15日に、佐賀地裁で開かれるのを前に、「押し紙」弁護団の江上武幸弁護士が「裁判傍聴のご案内」と題する文書を公表した。

既報したように、現在、佐賀地裁では佐賀新聞を被告とした2件の「押し紙」裁判が審理されている。吉野ヶ里販売店を原告とするものと、小城販売店を原告とするものである。

裁判の中で、折込広告の水増し問題が重要な検証点になっており、証人尋問の中でも、新聞社販売局の関与など事実の検証がおこなわれる可能性が高い。

法廷は、3階の1号法廷である。

「裁判傍聴のご案内」(抜粋)は次の通りである。

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選挙公報の配布、岐阜県土岐市や御嵩町などが新たに新聞折込を採用、背景に新聞関係者による「営業」か?

埼玉県で参議院議員の補欠選挙が行われている。前知事の上田きよし氏とN国党の立花孝士氏の2人が立候補して、両氏による一騎打ちになっている。2人の政策が記された選挙公報は16日にポスティングで全戸配布された。

選挙公報の配布方法は、ポスティング、新聞折込、郵送などがあるが、歴史的にみると、主流を占めていた新聞折込が激減して、ポスティングが増えている。理由は、新聞の公称部数が実配部数を大きく上回っているので、配達されずに廃棄される選挙公報が大量に発生することが発覚したからだ。

ところが最近、奇妙な現象が見られる。従来は、ポスティングで配布していたが、新聞折込に切り替える自治体が現れたことだ。おそらく新聞関係者が「営業」をした結果だと思うが、情報公開制度などを利用して配布方法が変更になった背景を調査する必要がありそうだ。

新聞の購読者が激減しているにもかかわらず、配布方法として新たに新聞折込を採用する選択が無知の最たるものであることは論を待たない。

参考までに、新たに新聞折込を採用した自治体を紹介しておこう。

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15日から新聞週間、日本新聞協会は今年も「押し紙」問題・折込広告の水増し問題を避ける

日本新聞協会は、10月15日から21日の日程で、第72回新聞週間をスタートさせた。共同通信によると、今年は、「人工知能(AI)の進化や、AIを活用した社会の課題などについて語るパネルディスカッション」を開くらしい。

同協会は、毎年、新聞週間になると、なにかテーマを決めて討論しているが、わたしの知る限り、「押し紙」や折込広告の水増しについて、討論したことは一度もない。実は、表裏関係をなすこれらの問題こそが、新聞業界が早急にメスを入れなければならない部分なのだが、当事者たちは隠蔽に終始してきた。

いまだに「知らぬ」、「存ぜぬ」という態度を貫いているのだ。そのこと自体が新聞経営者(新聞人)としての資質が欠落していることを示している。鈍感というよりも、知りながら逃げているのだ。ジャーナリズムよりも、金銭の損得(ビジネス)を優先しているのだ。

これでは日本のジャーナリズムに責任が持てるはずがない。

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2019年10月10日 (木曜日)

「新聞没落」が現実に、8月度のABC部数、朝日が約37万部減、読売が約40万部減、浮上してきた折込広告の水増し問題

2019年8月度の新聞のABC部数が明らかになった。新聞没落の傾向に歯止めはかからず、この1年間の減部数は、朝日が約37万部、読売が約40万部、毎日が37万部、日経が約10万部という結果になった。

最近、メディア黒書へ寄せられた複数の情報から察して、「押し紙」は従来に比べると相対的には減ったものの、依然として大量にある。しかし、新聞販売店の経営が悪化して、「押し紙」を減らさなければ、販売網が維持できない状態になっている。ABC部数の大幅な減部数は、その裏返しである可能性が高い。

新聞社経営は限界に来ている。折込広告の需要が大幅に減って、折込広告の収益で、「押し紙」により販売店が受ける損害を相殺できなくなっているからだ。新聞販売網が危機的な状態になっている。

8月度の中央紙のABC部数は次の通りである。()は前年同月比。

朝日:5,421,982(-371,443)
毎日:2,331,493(-368,297)
読売:7,945,137(-400,985)
日経:2,293,805(-99,390)
産経:1,361,847(-79,739)

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2019年10月09日 (水曜日)

経営難と言われている新聞社が倒産しない理由、背景に「折り込め詐欺」による収入を間接徴収する構図

10年ほど前から、「新聞没落」とか、「新聞終焉」とか、「新聞凋落」といったことが言われるようになった。

「新聞社が倒産するのは時間の問題」
「最初の倒産は、産経新聞か毎日新聞か?」
「次世代のメディアはどんなかたちになるのか?」

こうした話題が断続的にメディアを賑わしてきた。
直接のきっかけは、2007年に福岡高裁が真村訴訟で、読売新聞の「押し紙」政策を認定したことである。店主がPC上の読者名簿に「26区」と呼ばれる架空の配達地区を設け、そこで新聞を配達しているかのように装ってABC部数を増やす手口を強要されていたことが認定された。

読売の喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)らが、抗弁したが、この判決は、2007年12月に最高裁で確定した。

 

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

 

この時代、毎日新聞をはじめ「押し紙」率が50%を超える販売店もめずらしくなくなっていた。

が、それでも新聞社は、経営を維持してきたのである。なぜか?最近、その答えが分かった。

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江戸川区で発覚した「オリコメ詐欺」、民間企業の折込広告も大量に廃棄

「折り込め詐欺」のすさまじい実態が暴露されている。
江戸川区の新聞人らが、『広報えどがわ』や選挙公報を水増して、廃棄している問題をメディア黒書で報じたところ、民間企業の折込広告も廃棄されているという情報が寄せられた。

「折り込め詐欺」と表裏関係にある残紙の中身が、「押し紙」なのか、それとも「積み紙」なのかは不明だが、いずれにしても広告主にとっては、不愉快な話だろう。折込広告は1枚も無駄にしたくないというのが広告主の本音だ。
が、実際には梱包されたまま廃棄されている。

改めて言うまでもなく、騙された場合は、損害賠償を請求することは出来る。

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『広報えどがわ』の水増し問題、江戸川区新聞販売同業組合が区に対してABC部数を超える部数を発注させていた決定的証拠

江戸川区の広報紙の配布を請け負った江戸川区新聞販売同業組合(以下、組合)が、媒体の必要枚数を偽って発注させていた決定的な証拠が明らかになった。折込広告を水増しして、過剰になった媒体を廃棄していた事実が浮上した。

【不正が発覚した経緯】
東京都江戸川区は、組合に依頼して、『広報えどがわ』を配布してきた。ところがメディア黒書に対する公益通報により、同媒体が配達されずに大量に廃棄されている疑惑が浮上した。

そこで筆者は真相を確認するために、2つの資料を入手した。まず、江戸川区に対して、『広報えどがわ』の新聞折込を発注するに際して、組合が江戸川区に提示した同媒体の必要枚数を裏付ける資料である。情報公開請求の結果、次の枚数が明らかになった。

30年度(2018年):166,300枚
31年度(2019年):144,700枚

■裏付け資料

次に筆者は、日本ABC協会が調査して、4月と10月に新聞各社へ通知している新聞発行部数を確認した。その結果、江戸川区の部数は、次のようになっていた。()内は、組合が区に提示した媒体の必要枚数との差異である。ABC部数には、「押し紙」などが含まれているが、たとえ「押し紙」が皆無であっても、水増し状態になっている。

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2019年10月02日 (水曜日)

【写真特集】「押し紙」問題を放置して、 新聞に対する軽減税率の適用は異常

10月1日から、消費税が10%に引き上げられた。同時に、特定の商品に対する軽減税率も適用された。新聞もこの優遇措置を受ける商品のひとつである。理由は、新聞が日常生活の必需品であること、あるいは文化的な商品であることなどとされている。

しかし、新聞業界は、「押し紙」、「積み紙」、さらには折込広告の水増し問題などを内包している。そのために、全国各地で裁判などが多発してる。しかも、これらの問題は、1970年代から続いている。国会でも度々問題になっている。が、新聞人は解決に乗り出さない。

「押し紙」は1部もないと主張しているのだ。たとえば「押し紙」が1部もなくても、「積み紙」の存在は明らかだ。

この問題を放置して、なぜ、新聞人が税の優遇措置を受けなければならいのか、筆者はまったく理解できない。

そこでビジュアルに広義の「押し紙」問題の実態を知らせる。次に紹介する写真を参照にこの問題を考えてほしい。

 

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公益通報者に対して弁護士を使って圧力 江戸川区の選挙公報水増し問題

折込広告の水増し行為は、広告主にとっては許しがたい行為にほかならない。4年前、広告代理店・アルファトレンドが折込詐欺で広告主から提訴され敗訴した事件をメディア黒書で繰り返し報じたところ、同社があっけなく倒産したことがある。広告主の怒りを物語っている。

【参考記事】広告代理店・アルファトレンドが倒産、折込広告の詐欺発覚で

 

現在、取材中の江戸川区の選挙公報水増し事件が発覚したのは、公益通報があったからだ。その公益通報を最初に受けたAさんが、自分のブログで廃棄される選挙広報や江戸川区民報などの写真を公表したところ、国吉延男氏(YCと広告代理店を兼業、江戸川区北葛西3-1-18 )が、Aさんのブログを管理するKDDIに対して、Aさんの個人情報を明かすように求めて裁判を起こした。

この裁判で勝訴した店主は、渋谷区にあるしぶや総和法律事務所を通じて、Aさんに対して、公益通報者を密告するように求めてきたのだ。Aさんに対する刑事告訴や民事訴訟もほのめかしている。一部を引用してみよう。

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2019年09月27日 (金曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、11月1日に証人尋問、ABC部数の水増しを暴露か? 原告が呼びかけ文を発表

佐賀新聞社を被告とする「押し紙」 裁判の証人尋問が、11月1日に開かれる。詳細は次のとおり。

日時:2019年11月1日 午前10時~午後5時

場所:佐賀地方裁判所 3階
(佐賀県佐賀市中の小路3-22)

午前10時:証人・佐賀新聞販売局長 井出研一
午前11時:証人・元佐賀新聞販売局長 江口賢郎
午後11時30分:証人・元佐賀新聞販売局員・三神部会担当 武富一也
午後2時10分:証人・元佐賀新聞販売局員 原 正則
午後3時10分:証人・原告 寺﨑昭博

原告・寺崎さんは、証人尋問を前に証人尋問の傍聴を呼びかける文書を発表した。その内容から察して、尋問ではABC部数の水増しや、それに伴う折込広告の水増し問題にも言及するようだ。呼びかけ文をPDFで紹介しよう。

原告・寺崎氏のお願い文

佐賀新聞「押し紙」裁判の全記事

 

【「押し紙」事件の経緯】
原告の寺崎さんは、2009年4月に佐賀新聞・吉野ヶ里販売店の経営者になり、2015年12月末で廃業した。負担させられていた「押し紙」の割合は、当初は10%程度だったが、ピーク時の2012年6月には約19%に。その後、佐賀新聞社が全販売店を対象に「押し紙」を減らしたこともあり、廃業時には約14%だった。

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2019年09月11日 (水曜日)

船橋市の新聞販売店50店が「見守り活動」、警察と連携した住民の監視にエスカレートする懸念

千葉県船橋市にある約50店の新聞販売店でつくる船橋市新聞販売同業組(吉岡宏組合長=読売・船橋中央店)は、船橋市と協力して住民の「見守り」活動に乗り出すことになった。全国の警察と覚書を交わして連携を取りながら「見回り活動」を実施している読売新聞販売店の活動に追随する動きである可能性が高い。

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