1. 「押し紙」の実態

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2024年04月13日 (土曜日)

読売新聞押し紙訴訟 大阪高裁判決の報告

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責)

広島県福山市で読売新聞販売店を経営してきた濱中勇志さんが、読売新聞大阪本社に対し「押し紙(残紙)」の仕入代金1億1351万9160円の支払いを求めた裁判で、3月28日、大阪高裁は大阪地裁に続き請求を棄却する判決を言い渡しました。判決は大阪地裁が部分的に認定した「押し紙」の存在も取り消すという不当なものでした。独占禁止法の「押し紙」禁止規定の趣旨・目的に反する内容としか言いようがありません。

我が国の裁判官が、なぜ頑なに新聞社による「押し紙」の存在を認めようとしないのか?この疑問については、来週4月19日(金)に、福岡高裁で予定されている読売新聞西部本社を相手方とする別の「押し紙」裁判の控訴審判決の後に再考し、改めてみなさまに報告させていただくことにして、ここでは濱中さんの裁判に焦点を当て私の見解を述べてみます

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2024年04月07日 (日曜日)

【動画】で見る残紙の回収現場、閲覧制限で「押し紙」裁判の検証作業に高い壁が

判決を含む「押し紙」裁判の書面に、読売新聞社と同社の代理人弁護士を務める喜田村洋一・自由人権協会代表理事らが、閲覧制限をかける動きを強めている。それが原因で、「押し紙」裁判や「押し紙」問題をジャーナリズムの観点から検証する作業に困難をきたしている。広告主も判決の全文を読むことができない。

喜田村弁護士らは、読売「押し紙」裁判の判決(3月28日、読売の勝訴)も閲覧制限の対象にした。そのために肝心の箇所、つまり残紙の実態を示す数字がおおやけの場に登場しない事態が生じている。

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2024年04月03日 (水曜日)

読売「押し紙」裁判、喜田村洋一(自由人権協会代表理事)らが勝訴判決の閲覧制限を申し立て、大阪高裁は3日付けで閲覧制限を認める

読売新聞「押し紙」裁判の続報である。読売の代理人を務める自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士らが、大阪高裁判決(読売勝訴)の閲覧制限を大阪高裁に申し立てていたことが分かった。

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2024年04月02日 (火曜日)

読売新聞大阪本社に問い合わせ、判決文の黒塗り希望箇所を確認

大阪高裁は、28日、読売新聞「押し紙」裁判の控訴審判決で、控訴人の元販売店主の控訴を棄却した。詳細を解説するに先立って、読売新聞社(大阪)にある問い合わせを行った。

読売新聞は、このところ「押し紙」裁判の裁判書面に閲覧制限をかける動きを強めている。そのため読売に配慮するかたちで黒塗りを希望する箇所を問い合わた。読売がどの箇所の黒塗りを希望するか興味深い。

なお、この裁判には読売の代理人として、喜田村洋一・自由人権協会代表理事らがかかわっている。喜田村氏は、今世紀の初頭から一貫して読売新聞には1部の「押し紙」も存在しないと主張している。

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2024年03月25日 (月曜日)

読売「押し紙」裁判控訴審、28日に判決

大阪高裁は、3月28日(木)の13:20分に702号法廷で、読売新聞「押し紙」裁判の控訴審判決を言い渡す。当初、判決は3月7日に予定されていたが、急遽、28日に変更になっていた。

大阪地裁での第一審判決は、読売が勝訴したが、裁判所は読売の独禁法違反を一部認めた。控訴審でそれが維持されるかどうかがひとつの注目点になっている。維持された場合、新聞業界への影響は甚大なので、裁判所がそれに配慮するのではないかという見方が販売関係者らの間で広がっている。

「押し紙」問題は1960年代にはすでに浮上しているが、今だに解決のめどは立っていない。インターネットで「押し紙」を検索すると、2500万件もの記述が確認できる。しかし、日本新聞業界と新聞社は、「押し紙」をしたことは一度もないと主張してきた。公正取引委員会も取り締まろうとはしない。日本のジャーナリズムの恥部にほかならない。

読売の代理人には、人権擁護団体のひとつである自由人権協会の代表理事を務めている喜田村洋一弁護士も名を連ね、読売に「押し紙」は1部も存在しないと主張してきた。

 

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2024年03月01日 (金曜日)

読売新聞「押し紙」裁判、判決日を3月28日に急遽変更、不自然な裁判の進行

大阪高裁は、3月7日に予定していた読売新聞(大阪)を被告とする「押し紙」裁判の判決日を、急遽延期した。新しく指定した判決日は、3月28日(木)の13:20分である。法廷は702号。

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2024年02月08日 (木曜日)

モラル崩壊の元凶「押し紙」は何故なくならないのか?

「押し紙」弁護団から、メディア黒書へ「押し紙」問題を考える上で参考になる2件の準備書面の提供があった。江上武幸弁護士の解説と共に掲載した。裁判資料を公開する意図について、江上弁護士は、『押し紙』裁判が「特定の新聞社に限られた裁判ではないことを読まれる方々に理解してもらうこと」が目的と述べている。準備書面には、新聞の商取引の恐ろしい実態が記録されている。

福岡・佐賀「押し紙」訴訟弁護団 弁護士・江上武幸
2026年(令和6年)2月9日

■「押し紙」裁判準備書面(8)

■「押し紙」裁判準備書面(16)

2011年、東日本大震災を境に急激に発行部数が減少し続ける新聞業界において、今だに販売店からの「押し紙」の相談がたえません。新聞販売店経営に見切りをつけて、次の事業に転身できた方は幸いであり、他方、「押し紙」の仕入代金の支払いにあてるために多額の負債をかかえた方や、帳簿上、借金を新聞社の未納金として処理されてきた方は、生活資金のあてにしていた譲渡代金や保証金を受け取ることも出来ず、自己破産申立をせざるを得ない状況におかれています。

新聞社本体すら経営危機が叫ばれており、新聞社の衰退とともに販売店もなくなることが避けられません。「押し紙」も、いずれその歴史を閉じることになります。

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2024年01月23日 (火曜日)

読売新聞「押し紙」訴訟・控訴審判決期日のお知らせ

福岡・佐賀県押し紙訴訟弁護団     弁護士 江上武幸

正月早々、能登半島地震・日航機と海保の飛行機の衝突事故など、驚くニュースが次々と飛び込んでくる波乱の年明けとなりました。犠牲になられた方々やご遺族の方々に対し謹んでお悔やみを申し上げます。

読売新聞大阪本社を相手方とした「濱中押し紙訴訟」の大阪高裁判決の言渡期日は、3月7日(木)午後1時20分からと決まりました。また、読売新聞西部本社を相手方とした「川口押し紙訴訟」の福岡高裁判決の言渡期日は4月19日(金)午後1時10分からと決まりました。

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2023年08月11日 (金曜日)

読売新聞大阪本社の辣腕ジャーナリストに公開質問所を送付、「押し紙」問題についてジャーナリスト個人としての見解を求める

筆者は、8月10日、読売新聞大阪本社の柴田岳社長宛てに公開質問状を送付した。柴田社長は日経新聞によると、アメリカ総局長、国際部長、東京本社取締役編集局長、常務論説委員長などを務めた辣腕ジャーナリストである。

公開質問状の全文を読者に公開する前に、事件の概要を手短に説明しておこう。

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2023年07月31日 (月曜日)

不正金額の比較、ビッグモーターは4995万円、統一教会は35億円、新聞業界の「押し紙」は932憶円

ビジネスや事業が生み出した不正金額を比較すると、たとえば次のようになる。

・ビッグモーター:4995万円(読売新聞、おそらく累積)

・統一教会:年間で約35億円(霊感商法対策弁護士連絡会)

・新聞社が販売店に強制するノルマ部数(「押し紙」):年間で932億円(黒薮の
試算、詳細は『新聞と公権力の暗部』)

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2023年07月26日 (水曜日)

不都合な事実は無かったことに、何者かがウエブサイトから「押し紙」関連の記事を勝手に削除

ウエブサイトから「押し紙」に関する記事や写真を、何者かが勝手に削除する事件が相次いでいる。誰がどのような方法で、ネット上から「押し紙」についての情報を排除しているのかは不明だが、メディア黒書でも「押し紙」関連の記事閲覧ができなくなる事態が先月発生した。

「押し紙」問題は、この4月に大阪地裁が読売新聞の独禁法違反を一部認定するなど、解決の光が見えてきたが、その一方で何者かが激しく抵抗している。しかも、ターゲットになっているのは、メディア黒書だけではない。あらゆる「押し紙」情報を排除して、新聞社の「押し紙」政策がなかったことにする動きが加速している。

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2023年07月14日 (金曜日)

2023年5月のABC部数、中日新聞、営業利益が46・5%減

2023年度5月のABC部数が明らかになった。それによると前年同月比で、朝日は約52万部の部数減、読売は約42万部の部数減となった。

日刊紙全体で見ると、全国で約170万部の部数減となった。これは1年間で東京新聞社が4・5社消えたに等しい。中央紙のABC部数は次の通りである。

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2023年07月10日 (月曜日)

日本新聞協会と「押し紙」を放置する公正取引委員会の密約疑惑、1999年の謎

  日本新聞協会と公正取引委員会の「押し紙」をめぐる密約疑惑をレポートした記事の転載である。出典は、『紙の爆弾』(6月7日号)。

裁判所は、弱者にとって「駆け込み寺」なのだろうか。こんな自問を誘う判決が、「押し紙」裁判で続いている。「押し紙」裁判とは、新聞社が販売店に対して課している新聞の仕入れ部数のノルマが独禁法の新聞特殊指定に違反するとして、販売店が損害賠償を求める裁判である。今世紀に入るころから急増したが、わたしが把握している限りでは、販売店が勝訴したケースは2件しかない。しかも、この2件は、政界に対する影響力が弱い地方紙を被告とした裁判である。朝日・読売・毎日・産経・日経の中央紙を被告とした裁判では、ことごとく新聞社が勝訴している。

「あなたがたが、わたしどもを訴えても絶対に勝てないですよ」

新聞社の担当員から、面と向かって釘を刺された販売店主もいる。が、それにもかかわらず「押し紙」裁判は絶えない。その背景に、販売店主たちが裁判官を水戸黄門と勘違いしている事情がある。しかし、裁判所は弱者を救済するための存在ではない。権力構造の維持を合法化するための機関にほかならない。

◆ブラックリストの野村武範・裁判官が大阪地裁へ

去る4月20日の朝、わたしは新幹線で東京から大阪へ向かった。元販売店主の濱中勇志さんが読売新聞大阪本社に対して、約1億2400万円の支払いを求めた裁判の判決がこの日の午後に予定されていたからだ。濱中さんの販売店では、搬入される新聞の約五〇%が、俗にいう「押し紙」になっていた。

 

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