1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2019年09月06日 (金曜日)

読売700万部の時代へ突入、年間で約41万部減、宮本友丘専務が2010年に「押し紙をしたことは1回もございません」と証言

2019年7月度の新聞のABC部数が明らかになった。最新のものである。
今回発表されたデータの最大の特徴は、読売が800万部を割ったことである。厳密に言えば読売は、6月度ではじめて800万部の大台を割り、7月にはさらに部数を減らした。年間の減部数が約41万部もあることから判断して、読売は700万部の時代に突入したと言っても過言ではない。部数の回復は期待できない。

 

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2019年09月04日 (水曜日)

南日本新聞の販売店5店が「押し紙」の集団訴訟、『週刊金曜日』が報じる

『週刊金曜日』(8月30日)が、地方紙の「押し紙」問題を取り上げている。クローズアップされている新聞社は、南日本新聞、宮崎日日新聞、それに佐賀新聞である。また、「押し紙」制度を廃止した例として、熊本日日新聞の取り組みが紹介されている。

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2019年08月29日 (木曜日)

江上武幸弁護士が、産経新聞による景品表示表違反事件の顛末を『消費者法ニュース』でレポート、産経新聞が訴訟を取り下げた深刻な理由

新聞社経営が順調だった今世紀の初頭ごろまで、水面下でたびたび社会問題になってきたのが新聞拡販活動だった。ビール券や洗剤を多量にばらまき、時には消費者をどう喝して、新聞の購読契約を迫る商法があたりまえに横行していた。「新聞はインテリがつくってヤクザが売る」とまで言われたのである。

その後、新聞拡販活動は徐々に衰えたような印象があったが、形を変えて残っていたようだ。本質的な部分では何も変わっていなかった。

 

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2019年08月20日 (火曜日)

佐賀新聞の「押し紙」裁判、原告・寺崎氏が販売局員のハラスメントを克明に綴った陳述書を提出

佐賀新聞の元販売店主・寺崎昭博氏が起こした「押し紙」裁判で、去る7月1日に同社の販売局の実態を克明に綴った寺崎氏の陳述書が提出された。陳述書は、原稿用紙に換算すると60枚をこえる分量で、寺崎氏が販売店主になった経緯から、「押し紙」により廃業に追い込まれるまでの経緯を書いている。ABC部数をかさあげする手口にも言及している。

この裁判は2016年6月に寺崎氏が起こしたものである。請求額は8186万円。最初、寺崎氏が江上武幸弁護士に相談し、「押し紙」弁護団が結成され、提訴に至った。

地方紙を舞台とした「押し紙」裁判ということもあって、あまり話題になっていないが、裁判の中で新聞社販売局の前近代的な体質が浮き彫りになっている。

次に引用する陳述書のくだりは、寺崎氏が販売局員から、「押し紙」を買い取らなければ、商契約を終了すると脅される場面である。

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2019年07月19日 (金曜日)

「読売から抗議文がきた」、メディア黒書への通報が相次ぐ、新聞人は司法よりも言論の土俵で論争を

ここ3カ月ほどの間に、読売新聞社、あるいは読売関係者から、読売新聞についての報道に対する抗議があったという情報提供が2件あった。このうちの一件は、新聞販売店の元従業員からの情報提供で、自身のブログで読売を批判したところ、標的にされた販売関係者がブログのサーバーに圧力をかけてきたというものである。

このブログは、読売関係者を明らかに誹謗中傷しており、抗議を受けてもいたしかたないと判断できた。削除して、謝罪するようにアドバイスした。

もう一件は、山武ジャーナルというサイトの主催者から得た情報である。同サイトで「残紙処理現場 配達されず、闇から闇に葬られる新聞残紙。折込みで届けられるはずの広報誌の行方は?」と題する記事を掲載したところ、読売の広報部長から、抗議書が送付されたというのだ。

山武ジャーナル

山武ジャーナルの報道内容と読売からの抗議内容については、これから検証していくが、読売の主張は、簡単に言えば読売は注文部数を超えた新聞を販売店に搬入したことはないというものだ。これまでも同社が延々と繰り返してきた主張である。読売が主張する「押し紙」の定義を前提として、山武ジャーナルがいう「押し紙」は、定義に当てはまらないから、「押し紙」ではないという主張だ。

抗議書の最後には、「 なお、本抗議書の著作権(著作者人格権を含みます)は、当社に帰属しますので、WEBサイト等に掲載することはお断りします」と、記されている。(続きはウェブマガジン)

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本日発売の『週刊金曜日』、産経新聞の内部資料を暴露、大阪府の広域における「押し紙」

4月21日に投票が行われた統一地方選挙の当日のことである。筆者のもとに2枚の写真がメール送信されてきた。写真に写っていたのは、新聞販売店の店舗に積み上げられた選挙公報である。各候補者の公約を掲載したもので、有権者が投票先を決める際の指標になる情報である・・・・・・

本日発売の『週刊金曜日』に、筆者の「腐敗臭を放つ新聞社の部数獲得策『押し紙』と『景品』」--『産経』では搬入部数の約6割しか配達しない販売店も 」というタイトルの記事が掲載された。

これは産経新聞の内部資料に基づくもので、大阪府の特定の広域における正確な「押し紙」部数を暴露したもの。新聞社の両輪は、「押し紙」と高価景品を使った拡販。その両輪が回転を速めて、坂道をばく進している。

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2019年05月31日 (金曜日)

「公序良俗」に反し取引契約は無効か、「押し紙」問題の新しい流れが浮上

「押し紙」が洪水のように販売店に搬入され、保管する場所にこまり、仮眠部屋に運び込んだ。台所にも、押し入れの中にも運び込んだ。

「わしの部屋も店舗も、そこら中が新聞だらけになってしまい、販売局に部数を減らすように申し入れたら、『小屋を建てて保管しろ』と言われた」

2005年の話である。店主は、60万円で「押し紙」小屋を建てた。安倍公房の『砂の女』は、砂に埋もれてしまう人間を描いた小説だが、この店主は「押し紙」に埋もれる生活を続けているうちに、それが当たり前の日常になったのである。正気に戻ったときは、銀行に自宅を没収されていた。「押し紙」裁判を起こしたが、押し売りされた証拠が不十分で敗訴した。吐き捨てるように、

「あの裁判官は、死ぬ前に重病で苦しむで」

と、筆者に何度も呟いた。

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2019年05月28日 (火曜日)

激減する読売新聞、ひと月に約6万部減、年間で約42万部減、値上げの影響か?2019年4月度のABC部数

2019年4月度のABC部数が明らかになった。メディア黒書が提供してきたABCデータは、これまで()内に対前年同月差を表示していたが、今回は対前月差を表示した。

それによると最も減部数が激しいのは、読売新聞である。対前月差で約-5万7000部である。ちなみに対前年同月差は約42万部。読売の極端な部数減に歯止めがかかっていない。購読料の値上げが影響した可能性もある。

毎日新聞も対前年同月差は約42万部。4月度の総部数が約240万部なので、減紙率でみれば、読売よりも深刻な事態になっている。

次に示すのが、中央紙の部数内訳である。

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2019年05月09日 (木曜日)

日本の新聞社を巨大企業へ牽引した2大政策が完全に破綻、「押し紙」と高額景品使用

周知のように日本の新聞社の発行部数の多さは、世界でも群を抜いている。世界新聞協会(WAN-World Association of Newspaper)が、公表しているランキング(2016年)によると、日本から4社が10位以内にランクインしている。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞である。

発行部数の多さは日本の新聞社の際だった特徴といえよう。しかし、なぜ、日本の新聞社だけが怪物のように巨大化したのだろうか。わたしはその要因は3点あると考えている。

①戸別宅配制度
②高価な景品を使った新聞拡販
③「押し紙」政策

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2019年04月25日 (木曜日)

没落寸前の新聞、2019年3月度のABC部数、年間で朝日が-38万部、毎日が-38万部、読売が-39万部

2019年3月度のABC部数が明らかになった。それよると前年同月比で、朝日は約-38万部、毎日は約-38万部、読売は約-39万部だった。新聞の没落傾向には、まったく歯止めがかかっていない。

朝日:5,603,778(-376,719)
毎日:2,452,028(-383,712)
読売:8,114,816(-388,825)
日経:2,347,442(-102,477)
産経:1,392,080(-125,786)

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2019年04月22日 (月曜日)

統一地方選挙の選挙公報を大量に廃棄、公報の印刷枚数が戸数を大幅に上回る可能性

統一地方選挙が終わった。

読者からの情報提供により、一部の地域で選挙公報が配達されないまま廃棄されているらしいことが判明した。実は、この問題はかなり以前からあった。筆者の記憶では、2005年ごろに山陽新聞の元店主から、情報提供があったのが最初だ。

その後も断続的に同じ手口の「組織犯罪」が続いている。

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2019年03月04日 (月曜日)

「腐った金」とジャーナリズムの精神とは両立するのか、依然として新聞人による「押し紙」政策は止まず

メディア黒書に対して「押し紙」の内部告発が増えている。その大半は匿名で、裏付け資料が添付されていないので、事実確認ができずに放置するが、実名による内部告発で、連絡先が記されているものについては、弁護士を紹介して対処をお願いしている。今年中に、何件かの「押し紙」裁判が起こされるのではないかと思う。

筆者が「押し紙」の取材をはじめた1997年ごろ、日本新聞協会は「押し紙」の存在を全面的に否定していた。そのために「押し紙」という言葉も禁句になっていた。筆者が日本新聞協会の職員に、

「『押し紙』についてお尋ねしたいことがあります」

と、質問したところ、

「残紙のことですか?」

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2019年02月02日 (土曜日)

2018年12月度のABC部数、前年同月比で朝日が約36万部の減、読売は38万部の減

2018年12月度のABC部数が明らかになった。それによると、この1年間で、朝日は約36万部の減、読売は38万部の減、毎日は約33万部の減部数となった。

ABC部数の急落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。減部数の原因は、読者数の減数よりも、「押し紙」の減数が影響した可能性が高い。

中央紙の部数明細は次の通りである。

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