1. 「押し紙」の実態

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2018年12月28日 (金曜日)

ABC部数はこうして改ざんされる、改ざん作業を行ったデュプロの社員が語った恐るべき手口、全録音記録を公開

新聞のABC部数が、実配部数を反映していなことは、かなり前から新聞販売店主らの証言で明らかになっていた。ABC公査の直前に、販売店が保管している帳簿類(現在は、PC上のデータ)の改ざんが行われるというのだ。ただ、改ざんの現場を撮影するとか、改ざんした当事者が具体的な手口を明かすことはなかった。その結果、改ざん作業は、断罪されることなく新聞業界の慣行と化した。罪悪感もなくなったようだ。

が、筆者はこの10月、帳簿類(PC上のデータ)の偽装にかかわった人物が、その手口を語った録音テープを入手した(次ページのyoutube)。手口を録音したのは、兵庫県の西宮市で毎日新聞販売店を経営していた板見英樹さんである。(現在は廃業)

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2018年12月12日 (水曜日)

世界新聞発行ランキング、読売・朝日が1位と2位を独占するも、「注釈」で「押し紙」に言及、NYTの著しい台頭

英語版のウィキペディアに掲載されている新聞発行部数(2016年度)ランキングに、日本の新聞社が慣行化してきた「押し紙」についての注釈があることが分かった。ランキングは、世界新聞協会(WAN-World Association of Newspaper)が発表したデータを転載したもの。日本の新聞社がこれまでどおりに上位を占めているが、次のような注釈がついている。

【注1】
幾つかのデータについては議論の余地がある;日本の新聞の発行部数は、「押し紙」、取引先に過剰な新聞を供給することによる(数字の)誇張の影響下にあるとの主張もある。■出典(Notes 1)

海外でも、日本の新聞社の「押し紙」が問題視されはじめているのだ。

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2018年12月06日 (木曜日)

「押し紙」問題最前線、活発化する「押し紙」報道、増える「押し紙」裁判

「押し紙」問題の近況を報告しておこう。新しい動きがいくつか現われている。

11月1日に、国会の衆議院議員会館で「押し紙を考える勉強会」を開催した。この集会には、報道関係者を含めて50人あまりが集まった。「押し紙」をテーマとした集会を国会内で開催したのは初めてだ。1980年度の前半に、新聞販売の諸問題が国会質問の場で繰り返し取り上げられたことはあるが、集会を開いたことはなかった。

この集会の報道を含めて、その後、「押し紙」報道は活発化している。【続きはここをクリック】

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2018年12月04日 (火曜日)

「紙」新聞が崩壊へのカウントダウン、年間で読売41万部減、朝日は36万部減、毎日は31万部減、中央紙だけで京都新聞社3社分の部数が消えた、最新のABC部数

新聞の没落傾向に歯止めがかからない。新聞の発行部数を示すABC部数(2018年10月度)によると、朝日新聞は前年同月比で約36万部減、読売新聞は約41万部、日経新聞は約30万部減、毎日新聞は約31万部減、産経新聞は約11万部減となった。

中央紙5紙のABC部数は次の通りである。()は前年同月比である。

朝日 5,763,923(-357,682)
毎日 2,646,202(-314,076)
読売 8,328,646(-406,279)
日経 2,398,162(-297,093)
産経 1,465,842(-112,190)
合計 20,602,775(-1,487,320)

これら5紙で、総計約149万部が減ったことになる。これは京都新聞(発行部数約43万部)クラスの地方紙が、3社消えたに等しい。新聞業界の深刻な内情が改めて浮彫になった。

◇「押し紙」と折込広告の水増し

ちなみにABC部数には、「押し紙」が含まれている。「押し紙」とは、新聞社がノルマとして新聞販売店に買い取りを強要する新聞のことで、昔から業界内で大きな問題になってきた。新聞ばなれが進み、販売店の経営が悪化してくると、「押し紙」の負担が重くなる。そこで新聞社は、販売網を維持するためにやむなく「押し紙」を減らすことがある。その結果、ABC部数も減る。

このところの極端な部数減の背景には、単に新聞ばなれだけではなく、新聞社が「押し紙」を減らさざるを得なくなっている事情もあるようだ。それだけ経営悪化が深刻になっているのだ。

なお、折込広告の販売店への割り当て枚数は、ABC部数に準じる基本原則がある。従ってABC部数の中に「押し紙」が含まれていれば、それとセットになっている折込広告も、配達されないまま「押し紙」と一緒に廃棄されている可能性が高い。

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2018年11月27日 (火曜日)

東京都足立区でも「押し紙」が発覚、ABC部数が約270万部の毎日新聞、実配部数は推定で135万部

毎日新聞の元販売店主を取材した。この人は東京都足立区で2店舗を経営していたが、数年前に「押し紙」の負担に耐えられなくなって廃業した。当時の商取引の記録を見せてもらった。

それによると2店に対して総計で約3000部の新聞が搬入されている。このうち読者に対して発行された領収書は約1500枚(発証数)。差異にあたるおおよそ50%が「押し紙」になっていたことになる。

 

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2018年11月22日 (木曜日)

新聞「ABC部数」はこうして改ざんされる――実行者が手口を証言、本社販売局の指示でデュプロ(株)が偽の領収書を発行、入金一覧表なども偽造し数字を整合させる

新聞の発行部数を公式に示す「ABC部数」。ABC協会は2年に1度、「公査」を実施し、販売店の現場を調査している。ところがこの公査の直前に、新聞の購読者数を証拠づけるデジタル書類を改ざんしていることが分かった。

この問題を告発したのは、毎日新聞の元販売店主・板見英樹氏。板見氏は、現役販売店主だった2016年9月、改ざんの「実行者」である折込チラシ丁合機メーカー・デュプロ(株)社員から一部始終を聞き出した。

その録音によると、手口は、新聞拡販の対象者として販売店が保存している「過去の新聞購読者データ」を、現在の読者に改ざんして領収書を発行、そのバーコードを読み込み、入金一覧表なども自動的に改ざんすることで全体を整合させる、というもの。

改ざん現場には、毎日新聞の販売局員が立ち会い、指示を出していたという。(※文尾で、全音声9分21秒を公開)

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2018年11月15日 (木曜日)

「押し紙を考える学習会」の動画が完成、11月1日、衆議院第2議員会館で収録

11月1日に衆議院第2議員開会で、「NO残紙キャンペーン」が開催した「押し紙を考える勉強会」の動画が完成した。「NO残紙キャンペーン」は、新聞販売店から「押し紙」をなくす運動を展開している集まりで、弁護士、議員、それにジャーナリストなどから構成されている。思想的・信条は異なるが、販売予定のない新聞を買い取らせる新聞社のビジネスモデルに異議を申し立てるという点で合意を形成している。

発言は次の順番。

①黒薮哲哉(フリーランスライター)

②幸田泉(作家)

③寺崎昭博(佐賀新聞「押し紙」裁判原告)

④木原稔(衆院議員)

⑤小坪慎也(行橋市議)

⑥会場からの発言

どの発言も内容が濃いが、個人的には、木原稔衆院議員の発言に強い印象を感銘けた。折込広告の水増し行為が刑法上の詐欺にあたることを国会議員が、国会での集まりの中で指摘したのは初めてではないか。

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2018年11月14日 (水曜日)

水面下で広がっている「押し紙」をめぐる裁判、筆者も網羅できない規模か?

「押し紙」をめぐる訴訟が、筆者だけでは網羅できない規模で広がっているようだ。かつては販売店が新聞社を相手に裁判を起こしても、まず勝てないというのが常識だった。新聞社の担当員は、「押し紙」をめぐるトラブルが起きると、自信満々に、

「あなたがたが裁判を起こしても、絶対に勝てないですよ」

と、断言していた。残念ながら、それは事実だった。帳簿上では、新聞販売店が自分で希望する部数を注文したことになっているので、裁判所は残紙を「押し紙」とは認定しなかったのだ。帳簿上の事実関係だけで判断していたのである。

裁判所の見解に変化の兆しが現れはじめたのは、2005年だった。岐阜新聞の元店主が起こした「押し紙」裁判の控訴審判決で、名古屋高裁が残紙を「押し紙」と認定したのである。損害賠償は認めなかったが、残紙を「押し紙」 と判断した。

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2018年11月12日 (月曜日)

人件費のカットで新聞配達員に大きな負担、投函ミスが急増し、購読中止を招くケースが続出

新聞販売店からの情報によると、新聞の実配部数が大幅に減っている背景に、紙媒体からインターネットへの移行が進んでいる事情だけではなく、販売店の経営そのものが困難に追い込まれている事情があるようだ。

「人件費をカットせざるを得ない状況になり、その結果、ひとりの従業員の負担が大きくなったり、士気が低下して、配達が大幅に遅れたり、投函ミスが増えているのです」(都内店主)

投函ミスというのは、新聞を届けるポストを間違えたり、「不着」といって、投函そのものを忘れる事故を意味する。店によっては、1日に4件から7件ぐらいの投函ミスが発生するという。

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2018年11月10日 (土曜日)

【動画】「押し紙」と一緒に廃棄される折込広告の回収場面、山陽新聞「折込詐欺」の実態

「押し紙」と表裏関係にありながら光があたりにくい問題に、折込広告の水増し問題がある。新聞販売店へ搬入される折込広告の枚数は、新聞の搬入部数に一致させる基本原則があるので、搬入部数に「押し紙」が含まれていると、必然的に折込広告が水増し状態になる。

たとえば新聞の搬入部数が2000部で、実配部数が1500部の場合、折込広告は搬入部数の方に一致させ、1種類につき2000枚となる。配達されない約500部の「押し紙」と500枚の折込広告は、古紙回収業者により回収され廃棄される。

廃棄されているのは新聞だけではない。

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2018年11月09日 (金曜日)

この1年の減部数、朝日は約34万部、読売は約37万部、日経は約31万部 西日本新聞は宮崎県と鹿児島県で休刊、埼玉県で朝日と読売の合売店が誕生

2018年9月度のABC部数を紹介しよう。新聞の没落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。朝日はこの1年で約34万部、読売は約37万部、日経は約31万部の減部数となった。

繰り返し述べてきたように、ABC部数には「押し紙」が大量に含まれているので、ABC部数の減部数がそのまま読者数の減少を意味するわけではない。読者は減っているが、同時に「押し紙」を減らさなければ、販売網が維持できないほど、経営が悪化していると考えるのが妥当だ。

中央紙のABC部数は次の通りである。

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2018年11月02日 (金曜日)

国会での「押し紙」を考える勉強会に50人、海外のメディアも参加

「押し紙」を考える勉強会が、1日、衆議院第2議員会館の会議室で開かれ約50人が参加した。主催はNO残紙キャンペーン。

筆者が「押し紙」について説明した後、作家の幸田泉氏、佐賀新聞「押し紙」裁判の原告・寺崎昭博氏、衆議院議員の木原稔氏、それから行橋市議の小坪慎也氏が発言した。

発言の内容については、近々にユーチューブで公開する予定だ。

また、参議院議員の宇都隆史氏と和田正宗氏がメッセージを寄せた。このうち和田正宗氏は、国会で公正取引委員会に対して、「押し紙」について質問した経緯がある。

 

【参考記事】元NHK・自民党の和田政宗議員が「押し紙」問題で公取委を追及、14日の内閣委員会

 

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2018年10月27日 (土曜日)

11.1 「押し紙」を考える勉強会 プレスリリース

11月1日(木)に『「押し紙」を考える全国集会』を開くことになりました。メディア関係者(新聞・テレビ・フリーランス・ブロガー・雑誌・ネットメディア)の皆さまに取材をお願いしたいと思い、プレスリリースを掲載します。

プレスリリース

開催概要

日 時:平成30年11月1日

開演:17:00(開場16:30)

場 所: 衆議院第二議員会館 第一会議室(地下1階)
東京都千代田区永田町2-1-2

主 催: NO!残紙キャンペーン

 

急なご案内ではありますが、もし都合がつくようでしたらご取材をお願いします。

※入館の際に、議員会館のロビーで入館証をお受け取り下さい。不明な点があれば、黒薮までご連絡(090-8431-7317)ください。

 

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