1. 「押し紙」の実態

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2018年10月26日 (金曜日)

産経新聞の内部資料を入手、大阪府の広域における「押し紙」の実態を暴露、残紙率は28%

産経新聞の「押し紙」を示す新しい内部資料を入手した。「平成28年7月度 カード計画表」と題する資料で、その中に大阪府の寝屋川市、門真市、箕面市、四条畷市など(北摂第3地区)を地盤とする21店における「定数」(搬入部数)と、「実配数」が明記されている。

店名は匿名にした。「定数」(搬入部数)の総計は、4万8899部。これに対して「実配数」は、3万5435部である。差異の1万3464部が残紙である。予備紙として社会通念上認められている若干の部数を除いて、残りは「押し紙」ということになる。残紙率にすると28%である。

理由が不明だが、新聞は搬入されているが、配達していない店もある。赤のマーカーで示した店だ。今後、産経に理由を問い合わせることにする。

この内部資料が外部にもれたのは、販売店を訪問した産経の担当員が店にこの資料を置き忘れたことである。

次に示すのが資料の実物である。

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2018年10月19日 (金曜日)

読者がいない「押し紙」にも数10億円規模の消費税、新聞人が軽減税率の適用を求める本当の理由

新聞は文化的商品であり、国民にとっての必需品だから、消費税の軽減税率の適用対象になって当然という新聞関係者によるプロパガンダが拡散している。この理屈は果たして真実なのだろうか?それを新聞社のビジネスモデルの観点から考えてみると、まったく別の不純な側面が輪郭を現してくる。

結論を先に言えば、それは「押し紙」に消費税がかかって、新聞社と販売店の経営を圧迫することを、新聞人が恐れている結果にほかならない。

「押し紙」に消費税がかかる理由は、「押し紙」にも読者がいるという偽りのリアリティーを前提に、経理処理が行われているからだ。独禁法は、「押し紙」を禁止している。その結果、PC上に架空の配達地域を設け、それに準じて、架空の読者を設け、帳簿上で販売収入と「読者数」の整合性を保つ必要が生じる。当然、「押し紙」にも消費税がかかることを前提に帳簿を作成する。

さもなければ会計監査が通らない。粉飾ということにもなりかねない。

しかも、都合の悪いことに、「押し紙」には読者がいないわけだから、購読料はいうまでもなく、消費税も販売店と新聞社が負担することになる。

消費税率の引きあげによって新聞社と販売店がどれほど過酷な負担を強いられるかを試算したものを2つ紹介しよう。

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2018年10月11日 (木曜日)

崩壊へ向かう新聞販売網、新たな問題が浮上、「店主を辞めさせてもらえない」

新聞販売店の経営が悪化して、自主廃業する店主が増えている。ここに来て、かつては想像もできなかった新しい問題が発生している。横浜市内の店主が言う。

「廃業を申し出たところ、廃業しないように泣きつかれました。変な話でしょう。契約に従って手続きを踏めば廃業できるはずですが、もう少しだけ続けててくれと言うのです」

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2018年10月05日 (金曜日)

進む新聞販売店の合売店化、「押し紙」付きの新店舗開業に納得しない販売店主、対策は集団による「押し紙」裁判で、

新聞社の系統を超えるかたちで、販売店の整理統合が進んでいる。その中でいろいろな問題が噴出しているようだ。筆者は、系統を超えた販売店の整理統合、つまり合売店化が進めば、新聞社による優越的地位の濫用がなくなるのではないかと考えていたが、そうではないようだ。各新聞社が、新規の販売店に対して「押し紙」を買い取るように、「交渉」を続けているという情報提供があった。

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2018年10月04日 (木曜日)

「『押し紙』を考える全国集会」の案内状(PDF)が完成

11月1日(木)にNO!残紙キャンペーン委員会が、国会内で開催を予定している「『押し紙』を考える全国集会」のPDFの案内状が完成した。読者には、ネット上での拡散をお願いします。

「『押し紙』を考える全国集会」

既報したようにこの集会が国会内で実現するのは、小坪慎也行橋市議の尽力の果実である。

「押し紙」問題を考えるのに思想信条の違いは関係ない。販売する予定がない商品を、詭弁を弄して押し売りする行為が誤りだという立場に立つだけで十分なのだ。

当日は、佐賀新聞の「押し紙」裁判の原告・寺崎昭博氏も登壇して、ABC部数の具体的な改ざん方法についても言及することになりそうだ。

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2018年10月03日 (水曜日)

新聞社が直営する販売店に「押し紙」が集中する理由

新聞販売店の経営悪化に伴い、新聞社は各販売店に割り当てる「押し紙」を減らさざるを得ない状況に追い込まれているが、例外的に「押し紙」が増えている販売店もあるようだ。それは新聞社が直営している販売店である。地方紙の店主さんらと懇談して、そんな証言があった。

新聞販売店は大別して2種類ある。個人か経営する販売店と新聞社が直営する販売店である。個人経営の販売店が廃業して、後継者がいないと新聞社の直営になる。また、政策として、販売店を新聞社の直営(販売会社化)に再編する流れもある。

なぜ、新聞社の直営店に「押し紙」が増えるのだろうか。答えは簡単で、新聞社と販売店が実質的には同じだから、「押し紙」代金を直営店から販売会社へ移動させるだけで、痛くもかゆくもないからだ。「押し紙」は負担にならない。

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2018年09月29日 (土曜日)

「押し紙」を考える全国集会、国会議員会館で開催へ、日本新聞協会の新聞週間に対抗

「押し紙」を問題視する有志が、11月1日(木)に、国会の衆議院第2議員会館で、議員たちを招いて「押し紙」を考える全国集会を開くことが急遽決まった。誰でも参加できる。スケジュールは次のとうりである。

タイトル:「押し紙」を考える全国集会

日時:11月1日(木)、17:00~19:00

場所:衆議院第2議員会館 地下1F 第一会議室

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2018年09月28日 (金曜日)

10月15日から新聞週間、「押し紙」問題を議論してこなかった日本新聞協会

10月は新聞に関連した行事があちこちで開催される。その中でも最も有名なのが、日本新聞協会が主催する新聞週間だ。今年は、15日からはじまる。

新聞週間に先立って、6日からは、第71回新聞大会開催記念フォーラム「ことばと脳のおいしい関係」が東北福祉大学仙台駅東口キャンパス(仙台市)で開かれる。

筆者は、「押し紙」の取材をはじめてのち、新聞人たちの言動に耳をかたむけてきたが、新聞大会で「押し紙」について議論したという話は聞いたことがない。本来であれば、真正面から議論して、解決しなければならない問題なのだが、新聞協会は、大会でこのテーマを扱うどころか、今だに「押し紙」は一部も存在しないと開きなおっている

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「押し紙」の存在を知りながら、広告主が大量の折込広告を発注する理由、広告代理店からの裏金キックバック説

新聞の折込広告が水増しされていることは、いまや周知の事実となっている。しかし、広告主の中には、折込広告の発注枚数を減らさない者も少なくない。その理由として、最近、販売店から興味深い情報提供を受けた。広告代理店から広告主企業の担当員へ、キックバックが行われているというのだ。(もちろん一部の新聞である)

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、「押し紙」率が5割を超えている販売店も珍しくはない。当然、広告主が自主的に折込広告の発注枚数を減らさなければ、「押し紙」と一緒に折込広告も廃棄される。それを承知のうえで、配布予定のない折込広告を発注し続けているわけだから、常識的に考えれば、騙されていることになる。

ところが実は騙されているのではないという。広告代理店から、裏金をキックバックしてもらうことで、広告主企業の担当者が私腹をこやしているというのだ。

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2018年09月20日 (木曜日)

真村裁判の福岡高裁判決から11年、新聞販売網の整理・統合が本格化、改めて「押し紙」問題を問う

このところ筆者のもとへ新聞販売店の廃業に関する情報が数多く寄せられている。昨日(19日)も、一通の匿名メールーを受け取った。次のような内容である。

東京都町田市のXX新聞の店、同時に3店やめました。

まだ裏付けは取っていないが、最近の情勢から判断して、特に驚く情報ではない。筆者は、ここ1年ぐらいの間に、新聞販売網の整理統合が急速に進むと予測している。

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学習指導要領で新聞を活用する教育方針を明記、児童や生徒に新聞の「押し紙」による組織的な詐欺や環境破壊をどう説明するのか?

文科省が7月に発表した「高等学校学習指導要領」の解説で、教材として新聞の活用が推奨されていることを読者はご存じだろうか。「総則編」の中に7箇所も、新聞の活用が明記されている。たとえば次の箇所である。

各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

日販協(日本新聞販売協会)の『日販協月報』(4月)によると、新聞を活用する教育方針は、高校だけではなく、小中学校でも導入される見込みだという。

小中学校の次期指導要領改訂案でも、新聞を活用する方針が盛り込まれ、国語では小学5年、6年で複数の本や新聞を用いることを明記。中学2年は新聞などで情報を集め、中学3年で論説や報道を読み比べするように求めている。

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2018年08月24日 (金曜日)

3枚の写真で解説、新聞人による「押し紙」隠しの露骨な手口

「押し紙」とは、新聞社が販売店に対して買い取りを強要する新聞部数のノルマのことである。たとえば1000人の読者しかいない販売店に対して、1500部の新聞を搬入すれば、500部が残紙となる。

この500部のうち配達中の新聞の破損などに備えるための予備部数(搬入部数の2%程度)を除いた部数が「押し紙」である。

厳密に「押し紙」を定義すれば、「配達部数+予備部数」を超えた部数は、原則としてすべて「押し紙」である。改めていうまでもなく、「押し紙」に対しても卸代金は発生する。

「押し紙」の規模は、新聞社により異なる。毎日新聞のケースでは、「押し紙」が搬入部数の50%を超えていた販売店も複数確認されている。たとえば蛍ヶ池販売所(大阪府豊中市)では、搬入部数が2340部、実配部数が699部、残紙が1641部(2007年1月)であった。

本稿では、この「押し紙」を隠すための典型的な手口を3枚の写真で解説しよう。

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2018年08月18日 (土曜日)

福岡高裁が認定した読売の「押し紙」を考える

「押し紙」は、日本の新聞社の恥部だが、今だにその存在を新聞人が認めていないことを読者はご存じだろうか? 「押し紙」問題を指摘すると、必ず次のようなニュアンスの言葉が返ってくる。

「あなたが言っている『押し紙』とは、残紙のことだろう」

新聞販売店が自分の意思で新聞の仕入れ部数を決めているので、「押し紙」ではないという恐るべき詭弁である。たしかに帳簿上は、販売店が仕入れ部数を決めたことになっているが、その背景に新聞社による優越的地位の濫用がある。

2016年7月、『月刊Hanada』に「押し紙」についての記事を掲載したところ、読売の滝鼻太郎広報部長が編集部に抗議文を送付してきた。次に紹介するのは、抗議に対する筆者の反論である。背景を知らない人にも理解できるように反論文を構成している。

滝鼻氏の抗議の中身は、究極のところ真村訴訟の福岡高裁判決が読売の「押し紙」を認定したとするわたしの判例解釈は間違っているというものだ。

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