2014年05月21日 (水曜日)

新聞業界から150人を超える議員へ献金、背景に軽減税率の問題、90年代には「新聞1部につき1円」の献金も 

次に示すのは、昨年公表された日販協政治連盟の政治資金収支報告書である。 昨年公表されたもので、2012年度の記録である。

■政治資金収支報告書

これによると新聞業界は、優に150人を超える政治家に対して、政治献金を支出している。その背景に新聞に対する軽減税率の適用を受けたいという思惑があるのではないかと推測される。

日販協政治連盟の母体は、日本新聞販売協会(日販協)である。この団体は、全国の新聞販売店の同業組合で、新聞社とは極めて親密な関係にある。特殊指定(再販再度)が撤廃の危機に陥った2006年には、新聞社と共同歩調を取って、反対運動を展開した。

新聞販売店の位置づけが、表向きはともかく、実質的には、新聞社販売局の下部組織になっているので、共同歩調を取ること自体は特に不思議なことではない。が、問題は政治献金を支出してきた事実である。

◇「1円募金」という名の献金

もちろん業界団体が政治団体を結成して、政治献金を行う行為は、違法ではない。しかし、新聞はジャーナリズムであるから、政界に対して政治献金を繰り返していたのでは、たとえ窓口が日販協になっていても、大きな問題がある。

それに1990年代の初頭は、日販協が別のかたちの献金を行っていた。これは「1円募金」とか、「1円運動」と呼ばれていたもので、次のような驚くべき方法が採用されていた。具体例を出して説明しよう。

たとえば新聞2000部を配達している販売店を想定する。この店が負担する政治献金は、2000円。新聞1部に付き、1円の計算である。

同じ方法で各新聞販売店の献金額を決める原則があった。したがって3000部の新聞を配達している店は、3000円である。4000部の店は、4000円の計算になる。

新聞1部につき1円の献金といっても、当時、中央紙だけでも2700万部を超えていたから、大変な金額の金が集まっていた計算になる。日販協の組織率を5割としても、金額の大きさにはかわりがない。

こんなことが水面下で行われていたのである。その体質が現在は、日販協政治連盟を通じた政治献金の支出となって現れているのだ。

政治献金を支出して、新聞に対する軽減税率の適用を求める行為。これはどのような観点から見ても許される行為ではない。同時にニュース性が極めて高い話題だ。

■参考サイト:http://tkuroyabu.net/

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2014年05月20日 (火曜日)

『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)に記録された原発事故と鼻血の関係、「美味しんぼ」問題にみる村社会の体質

『週刊ビッグコミックスピリッツ』の「美味しんぼ」で、主人公が鼻血を出す場面が批判の対象になっている。風評被害を引き起こすというのだ。風評被害というからには、放射能によるガンマ線と鼻血は関係がないという見解が前提になっているはずだが、果たして両者に因果関係はないのだろうか?

この点を曖昧にすると、言論弾圧が日常化しかねない。

『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)という旧ソ連の研究者たちによる報告書がある。とかく原発事故による人的被害といえば、甲状腺癌や白血病と関連づけて考える傾向があるが、同書は、放射線による癌以外の被害についても詳しく報告している。

次のPDFファイルの図は、「子どもの健康に関する自覚症状の一覧」である。

■「子どもの健康に関する自覚症状の一覧」

「重度汚染地域」と「低汚染地域」を症状別に比較したものである。報告されている症状は次の通りである。

健康状態に関する不調の訴え、虚弱、眩暈(めまい)、頭痛、失神、鼻血、疲労、心臓不整脈、腹痛、嘔吐、胸やけ、食欲不振、アレルギー。

特に着目すべき点は、1回目の調査では、すべての症状の発症率において、「重度汚染地域」が「低汚染地域」よりも高い数値を示していることである。3年後の調査では、例外的に「アレルギー」の発症率が、重度汚染地域よりも、低汚染地域の方が高くなっているのを除くと、やはり同じ傾向を示している。

注目すべきことに、「鼻血」が放射線による症状として、記録されている事実である。つまり「美味しんぼ」における鼻血の場面は、誇張ではなくて、十分な根拠があるといえる。

この程度の表現がバッシングの対象にされた事実は、言論統制が水面下でかなり進行している証といえるだろう。今やメールや電話の傍受は、あたりまえ。安倍内閣になってから、「先進国」とは思えない言論に対する嫌がらせが進行している。

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2014年05月19日 (月曜日)

NTTドコモとソフトバンクが住居から20メートルの低層・至近距離に携帯基地局を設置――緊急対策としての電磁波遮断法とは

新聞・テレビは巨大広告主を恐れてほとんど報じないが、生活防衛を図る住民の間では既知の事実となっている基地局の健康被害。住居のすぐそばに携帯基地局が設置され、住民との間でトラブルになるケースが目立ってきた。

今年1月、東京・調布市でソフトバンクが三階建て低層マンションの屋上に基地局を設置したところ、道路を挟んだマンションに住む住民らが怒りの声を上げた。基地局と住居の距離は最短で約20メートルと目と鼻の先だ。東京・練馬区でも昨夏、NTTドコモがやはり三階建て低層マンションの屋上に基地局を設置し、住民が反発している。

背景には、大容量化・高速化など通信の質を高めて競争を勝ち抜きたい電話会社の思惑と政治・行政の不作為があるが、電磁波から逃れるために自宅を奪われかねず、資産価格が下落するリスクもある。最新の状況に加え、緊急対策として電磁波を遮るノウハウを、筆者が実践しているものも含め3つ紹介する。

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【Digest】?

◇寝室の窓外に基地局が?

◇電磁波でアルツハイマーのリスクも?

◇強引な基地局の設置

◇背景に電話会社の市場競走?

◇深刻な不動産価値の低下?

◇マイクロ波を遮断する方法?

◇NTTドコモとソフトバンクの見解

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ポールに取り付けられた3個の円筒形の物体。アンテナというよりも、牙をむきだした灰色のロボットに近い。そのロボットが直立不動の姿勢で視線を一点に据え、部屋の中をじっと覗き込んでいるような印象があった。

なによりも異様なのは、アンテナの高さと視線が並行な位置関係にあることである。基地局はこれまでの取材でたくさん見てきたが、ここまで視線と並行に至近距離なのははじめてである。

「これはひどいですね。こんなケースは見たことがありません」

わたしは居間のガラス戸を開けて、設置されたばかりのソフトバンクの携帯基地局を見つめた。距離は、約20メートル。幅の狭い道路を隔てた向かいにある3階建て賃貸マンション『コーポ静』の屋上に取り付けられている。

基地局の設置が始まったのは今年2014年1月15日。そして、暗がりの中でも作業が続き、28日に現在の姿になった。・・・・・・【続きは、MyNewsJapan】

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2014年05月17日 (土曜日)

MEDIA KOKUSYOの不具合について (5月17日)

MEDIA KOKUSYOにかなり深刻な不具合が発生しています。連休の間に、トップページの[本サイトについて]、[購読はこちらから]、[ご利用方法]、[利用契約]、[プライバシー・ポリシー]、[お問い合わせ]、[有料購読はこちらから]、[マイページ]のリンクが、切断されました。そのために現在はアクセスできません。

これに気づいたのは連休明けです。読者の皆様は、自身の手で不具合の実態をご確認ください。

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また、課金に関するその他のトラブルを発見された場合は、ご連絡ください。過去に2重課金のケースが発生しています。過払いになっている場合は、返済します。

【その後の経緯】

サーバーのGMOクラウドに、リンクが切断された原因を問い合わせたところ、「原因については依然として特定できておりません。」とのことでした。修復費用の提示がありましたが、今のところペンディングにしています。サーバーのセキュリテーに問題がある可能性もあるからです。

読者の皆様には、重ねてお詫び申し上げます。

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2014年05月15日 (木曜日)

イベントのお知らせ 「小沢一郎を強制起訴に追い込んだ 検察審査会と最高裁の闇」、24日関西で

講演のお知らせです。次のスケジュールで5月24日に大阪市で講演を行います。

タイトル:小沢一郎を強制起訴に追い込んだ 検察審査会と最高裁の闇」

出演:志岐武彦/黒薮哲哉

日時:5月24日 13時?

会場:Loft PlusOne West

大阪府大阪市中央区宗右衛門町2−3 美松ビル3F

最寄駅:日本橋駅、なんば駅 [マップ]

■イベントの詳細:http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/23589

なお、夜の部(19:00?)では、増山麗奈(画家、ジャーナリスト) 松本なみほ(環境コンサルタント) 志葉玲(ジャーナリスト)の3氏によるイベント「映画「ママの約束」鑑賞会&トーク〜原発ゼロでみつけた本当の豊かさ〜」が行われます。[詳細]

注:諜報活動はお断りします

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2014年05月14日 (水曜日)

これはおかしい?折込広告の適正枚数>新聞の実配部数+予備紙+押し紙、何者かが不都合なデータベースのリンクを切断

読者は、5月2日付けでMEDIA KOKUSYOに掲載された「折込広告、「動画」大量破棄される県民共済のパンフ、表示された適正広告枚数が新聞の発行部数を超える実態 」と題する記事を記憶されているだろうか。次の記事である。

http://www.kokusyo.jp/?p=5658

この記事の中で、わたしは「全国販売店統一コードシステム」と呼ばれるデータを紹介した。これは折込広告の適正枚数を新聞社ごとに示したもので、広告の勧誘に使われる。更新も毎日行われる。

その「全国販売店統一コードシステム」で表示される数値の不自然さ?(折込広告の適正枚数が新聞の公称部数を上回っている)?をMEDIA KOKUSYOで指摘したところ、リンクが切断されてしまった。下記の通りである。

http://geo.cis-mapple.ne.jp/tsyukei/tsyuukei_L.html

そこで参考までに、わたしが保存している古いデータと現在のデータを以下に表示しておこう。

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2014年05月13日 (火曜日)

安倍首相の「押し紙」発言、新聞が世論誘導の道具と化した背景に経営上の汚点

マスコミによる世論誘導が露骨になっている。こうした状況下で、メディアリテラシーを意識しながら、マスコミ報道に接しているひとの多くが、わたしと同じ危惧を感じているのではないだろうか。世論誘導は、常に国民が気づかないうちに進行しているものだ。それゆえに危険きわまりない。

たとえば9日付けの読売と毎日は、2040年に若年女性の人口が半減するという予測を報じた。タイトルは次のようになっている。

〔毎日〕896自治体消滅の恐れ 若年女性2040年半減 有識者団体「子育て支援を」

〔読売〕896自治体 若年女性半減 2040年推計 東京集中に警鐘 有識者会議

同じ内容なので、同じ情報源をもとに記事化したものと推測される。記者クラブで得た「たれ流し用」の情報の可能性もある。

それから2日後、田村憲久厚生労働相が年金の支給開始年齢を75歳程度まで繰り下げる可能性をほのめかした。これについて毎日新聞は、次のように報道している。

田村憲久厚生労働相は11日のNHKの番組で、基礎年金の受給開始年齢を受給者の判断で最長70歳まで繰り下げて手取り額を増やせる現行制度について「選択の幅をのばすのは一つの方向性としてはある」と述べ、75歳程度までの繰り下げを選択できるようにすることを検討する考えを示した。

直感の鋭い読者は推測できると思うが、人口減に伴い1人の若者が1人の高齢者を支える「肩車型社会」が到来することを報じた直後に、国策として年金の支給年齢の繰り下げを行う必要性を提起すれば、「それも止むをえない」と考える世論が形成される。

ちなみに人口減は事実である。が、その事と将来の財源不足は問題の本質が異なる。と、いうのも政府は、財政難を口にしながら、どんどん法人税を安くしているからだ。新自由主義の政策そのものが、財政支出を縮小して「小さな政府」を作り、大企業の負担を軽減することにあるわけだから、財源不足になるのはあたりまえである。

それゆえに財政難の問題は、むしろ新自由主義という国策が誤っている結果、生じるのである。それを打開するために、公共サービスの民営化が進んでいるわけだが、このような制度下では、お金のない人は、切り捨てられてしまう。 公的機関による福祉の概念も消えてしまう。

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2014年05月12日 (月曜日)

MEDIA KOKUSYOの不具合について 

MEDIA KOKUSYOにかなり深刻な不具合が発生しています。連休の間に、トップページの[本サイトについて]、[購読はこちらから]、[ご利用方法]、[利用契約]、[プライバシー・ポリシー]、[お問い合わせ]、[有料購読はこちらから]、[マイページ]のリンクが、切断されました。そのために現在はアクセスできません。

これに気づいたのは連休明けです。読者の皆様は、自身の手で不具合の実態をご確認ください。

上記の事情で、現在、新規登録も登録解除もできなくなっています。

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メール: xxmwg240@ybb.ne.jp

また、課金に関するその他のトラブルを発見された場合は、ご連絡ください。過去に2重課金のケースが発生しています。過払いになっている場合は、返済します。

問題が解決するまでの間は、記事の「全文公開」を続けます。新聞に対する消費税の軽減税率適用の是非をめぐる議論が盛んな時期なので、引き続き新聞の問題を中心に報じていきます。

読者の皆様には、重ねてお詫び申し上げます。

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2014年05月09日 (金曜日)

『財界にいがた』が森裕子裁判の記事を掲載、2010年9月14日の民主党代表選の舞台裏は?

新潟県を地盤とした経済誌『財界にいがた』 (5月号)が、「小沢一郎を強制起訴に追い込んだ検察審査会と最高裁の闇」と題する記事を掲載している。これは森裕子元参院議員が昨年、志岐武彦氏に対して起こした裁判について報じるレポートの第2回目である。

裁判の発端は、2010年9月14日に投票が行われた民主党代表選の当日に、東京第五検察審査会が候補者だった小沢一郎氏に対する2度目の起訴議決を行ったことに、小沢氏の支援者らが「策略ではないか」との疑いを抱いて、独自の調査を開始したことである。調査の先頭に立ったのは、森議員(当時)と、後に『最高裁の罠』を著す志岐武彦氏だった。

『財界にいがた』の記事は、調査の過程で判明した事実を紹介している。それは、小沢氏に対する起訴議決が架空だったという推論を裏付ける内部資料である。情報公開制度を利用して入手したものである。

■『財界にいがた』

なお、検察審査会というのは、「検察」の名前を付しているが、最高裁事務総局が管轄する組織である。つまり森氏と志岐氏は、最高裁事務総局の「闇」を調査し、暴露したのであるが、その後、意見の相違から決別した。森氏は、検察を諸悪の根源と主張したのに対して、志岐氏は最高裁を諸悪の根源と主張した。そして意見の対立が高じ、森氏が志岐氏を提訴するに至ったのである。

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2014年05月08日 (木曜日)

公共事業は諸悪の根源 ジャーナリズムでなくなった朝日 その10 【後編】

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

私はその年の5月、コンプライアンス委員会に「調査申立書」を提出しました。外部委員もいるから、これまでの経過をまず、詳しく記しました。その上で問題点を、「報道弾圧があったか否か」「人格権、記者の基本的権利の侵害、人事、経済的差別」「質問に対して、なしのつぶてにされていること」「真の信頼関係」など各項目に分けて整理したのです。私の求めた審査がどんなものかは、読者にはもう十分お分かりと思いますので、ここでは省略します。

◇「会って、直接話をしたい」

委員会事務局から、5月22日、「受理」のメールがありました。ところが6月9日に「事務局レベルで事前審査をしております」と、意味不明のメールが届いた頃から、雲行きが怪しくなりました。ある人物が私に、「委員会にあまり期待しないで下さい」とも伝えて来ました。

委員会規定では、「事務局は、通報を受けた日から20日以内に、通報者に対し、コンプライアンス違反行為に関する調査を行う旨の通知を、または要件を満たさないことが明白な場合は当該調査を行わない旨の通知をする」と定めています。

その期間をとっくに過ぎた7月7日になって、委員会事務局長が突然、「会って、直接話をしたい」と、名古屋に私を訪ねて来たのです。「社内では……」と、近くの喫茶店に入りました。私の質問に事務局長は口ごもりながら、次のような話をしました。

――名古屋までわざわざ、ご苦労なことです。ここまで時間はたっぷりあったのだから、調査は終わったのですか?それとも私に対する聴取ですか?

「ある程度、調査はしました。事実関係は、大筋においてはそんなに間違っていません。ただ、『処遇』に関するものです。委員会の対象ではないので、却下したい」

――事実関係が間違っていないなら、当時の名古屋本社幹部による報道弾圧は明らかです。私が異議を唱えたことへの報復・人事差別も含め、行動規範違反だから申し立てました。どの行為がどの項目に違反するか、規約に照らし詳細に指摘したはずです。

「とにかく、『処遇』に関するものだから……」

――組織の側が報道弾圧する時や、異議を申し立てた者に対する報復を行う時は、人事・給料などでの差別・冷遇、つまり「処遇」の問題が絡むのは、むしろ当然ではないですか。例えば、「上司のセクハラ行為を非難したら、人事・処遇まで嫌がらせを受けた」として委員会に提起があったら、「処遇の問題」として、訴えを却下するのですか?

「それはともかく……。この問題は『処遇』に関するものだ。審査出来ないとしか、言いようがない」

――規範違反は審査対象と明記されている。何のための行動規範、何のための委員会か?

「何のためかと言われても……」

――「却下」理由に当たるかどうかは、外部委員の意見を踏まえ、委員会本体で結論を出す問題です。事務局で勝手に判断するなら、「握りつぶし」ということになる。再検討してはどうですか?

「とにかく、委員会として、結論が出ている問題だから……」

事務局長は、名古屋本社で一緒に仕事をした旧知の間柄、好人物でもありました。もともと口ごもっている相手に、これ以上強く攻め立て、答えを求めても酷です。しばらく雑談の後。私はこの人物に助け舟を出すつもりで、こんな提案をしました。

――話を聞いていても、あなたの手の届かないところで決まったことのようですね。会社としての結論が出ているなら、私に何らかの回答文を届けに来たということではないのですか?

「ええ、『却下通知』の文書を用意はして来ました」

――結論が変わらないなら、貴方の立場もあろうから受け取りましょうか?ただ、その場合は、裁判で決着させる以外にありません。それは承知して戴きたい。

「それは……。そこまでは私も……」

――事務局長一人の判断に余ることかも知れません。それなら担当役員もいることだから、渡すかどうかは、私の反論を伝えて、社として判断してからでも遅くないのでは…。

「……」

――受け取れと言うなら、受け取ります。どうしますか?

「とりあえず……、今日はこれで……」

事務局長は、文書をカバンから出したり、引っ込めたり。結局、文書をカバンにしまい込み、東京に帰って行きました。

私はこの問題で、何人もの朝日社員とやりとりして来ました。もともとジャーナリストとしての片鱗すら持ち合わせない人物は、何を言っても蛙の面に小便でした。しかし、その片鱗が大きければ大きいほど、伏目がちになり、口ごもったのです。事務局長もそんな一人だったと記憶しています。

この後、事務局長から何の連絡もありませんでした。「『却下通知』を渡したい」と再び言って来ない限り、私の反論が通り、委員会でそれなりの審査が始まっているのだろうと思ってもいました。

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2014年05月07日 (水曜日)

公共事業は諸悪の根源 ジャーナリズムでなくなった朝日 その10【前編】

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

安倍政権は、もはや経済再建などそっちのけ。「9条のある国」から、「集団的自衛権」をこの国に取り入れ、9条を形骸化。「戦争の出来る国」、戦前の軍事国家に逆戻りさせることのみに専念しているように見えます。

そんな中、今年も「5.3」、憲法記念日には、様々な行事が行われました。この日は、私たち朝日新聞出身者にとって、特別な日でした。1987年5月3日夜、兵庫県西宮市にある朝日の阪神支局に何者かが押し入り、「反日朝日を処刑する」として、銃弾を撃ち込みました。居合わせた当時29歳の小尻知博記者が死亡、もう1人の記者も重傷を負った日でもあるからです。

朝日では、その年以降毎年、小尻記者の追悼行事を阪神支局でしてきました。しかし、今年、「反日朝日を処刑したのは当然」として、この襲撃を美化するデモを支局周辺でしようとの呼びかけが、ネット上で流されていました。

この人たちが朝日を「反日」と言うなら、私がこの欄で報告した通り、無駄な公共事業で膨大な借金を溜め、この国を沈没させた官僚・政治家は、それ以上の「反日」のはずです。そんな官僚・政治家の所業を読者・国民に知らせる私の記事を止め、彼等の利権漁りに手を貸した朝日幹部も確かに「反日」かも知れません。しかし、襲撃事件を美化する人たちは、こうした「反日」は糾弾しません。その裏にどんな人たち・勢力がいて、どう操られているのか。私はそれが気掛りです。

◇小尻記者の霊前に向かい・・・

昨年も私は憲法記念日に、「言行一致で表現・報道の自由を守る覚悟を 、5・3の憲法記念日に複雑な思い」との文章をこの欄で書きました。今年も昨年と同様、「複雑な思い」でこの日を迎えました。

昨年から今年にかけこれまで9回にわたり私は、「ジャーナリズムでなくなった朝日」について、報告して来ました。私の「複雑な思い」が、何故か。この欄の読者は、より具体的にお分かり戴けたのではないかと思います。

出来れば、「公共事業は諸悪の根源?」の後篇の編集局長から私への手紙についてももう一度、読み返してみて下さい。こんな人たちが小尻記者の霊に向かい、「報道の自由を守る」とぬけぬけと語りかけるのが、朝日の追悼行事です。口先だけで、「人々の知る権利」に奉仕する強固な意志が固まるはずもありません。

◇二枚舌は絶対にあってはならない

冒頭で言ったように、安倍政権の登場で、この国の進路は大きな曲がり角を迎えています。国民はより多くのことを知り、「表現の自由」をもって自分たちの国の在り方について、自らの考え・意見を表明しなければならない時代に来ています。そんな人々に情報を提供するジャーナリズムの役割・責務もより重くなっています。

「表現・報道の自由を守れ」は、口先では誰でも言えます。しかし、権力者が本気で抑圧して来たなら、体を張って心の底から守る覚悟がどれだけのジャーナリズム・ジャーナリストにあるのでしょう。それが問題なのです。

昨年の特定秘密保護法制定の際も、既成メディアは当初及び腰でした。「知る権利」の危機、戦前回帰を心配する多くの国民の声で背中を押されて重い腰を上げ、やっと取り組みを始めました。しかし、制定されるともう諦め、最近ではその報道にお目に掛かることはほとんどなくなりました。

人様に格好のいいことを言うなら言行一致、自らも不退転の決意で、人々の「知る権利」のために真剣に取り組む。二枚舌は絶対にあってはならない。それがジャーナリズム・ジャーナリストたりうる最低限の条件・掟であるはずです。

しかし、この国の既成メディア、とりわけ、幹部に登り詰めた人ほど、その意志を失っていくのは、何故か。「ジャーナリズムでなくなった朝日」で報告しているのは、その具体的な実例です。

この時代だからこそ、人々の「知る権利」のために真剣に取り組むジャーナリズムの再生が必要です。朝日が「過去の過ち・体質」に目をそむけることなく自らの姿をもう一度見つめ直し、言行一致の組織への再生を願うが故に、赤裸々にこの報告をしています。それが追悼式で朝日幹部が語る空虚な言葉より、小尻記者の霊に応えていく本来の道と考えています。

さて、「公共事業は諸悪の根源」のこのシリーズも、もう14回目です。そのうち「ジャーナリズムでなくなった朝日」は今回で10回目、いよいよ朝日についての報告は大詰めです。読者の皆さんも、朝日組織の内情について、それなりにお分かり戴けた頃かと思います。

武富士事件や若い記者による記事の盗用など朝日で不祥事が相次いだ2005年、「その原因は、私の問題と根っこで共通するものがある」として、多くの質問状を私が出したことまでを、前回報告しました。私は社説での朝日の主張も引用。前述通り、ジャーナリズムの掟である「言行一致」を求めたのです。しかし、朝日はまともに回答して来ませんでした。今回はこの後からです。

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2014年05月02日 (金曜日)

折込広告、「動画」大量破棄される県民共済のパンフ、表示された適正広告枚数が新聞の発行部数を超える実態

「全国販売店統一コードシステム」と呼ばれるデータがある。折込広告の適正枚数を示したもので、毎日更新される。当然、広告営業で使われているものと思われる。

主宰団体は、よく分からないが、広告代理店の集まりであることは間違いない。かつてはウエブサイトが存在し、それを旧「新聞販売黒書」で取り上げたところ、ウエブサイトの運営が中止され、次のような「廃墟」になってしまった。

■ウエブサイトの跡

しかし、「全国販売店統一コードシステム」そのものにはアクセスできる。まずは、実物をご覧いただきたい。

■全国販売店統一コードシステム??

5月1日現在の数字(総計)は次のようになっている。

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2014年05月01日 (木曜日)

折込広告、「動画」多量破棄されるユニクロの広告、広告の水増し問題を取り締まれない本当の理由

折込広告の「折り込み詐欺」と「中抜き詐欺」の被害額は、「振り込め詐欺」の類ではない。4月30日付けMEDIA KOKUSYOで報じたように、(株)バースデーという小規模事業者が受けた被害だけでも、10ヶ月で約250万円にもなったのだ。

折込広告を主要な宣伝媒体するスーパーなどが、被っている被害は計り知れない。参考までに、日本アドバタイザーズ協会に登録している広告主のリストをリンクしておこう。注意を呼びかける対象である。

■広告主一覧

残念ながら、広義の広告詐欺は撲滅がむずかしい。理由はいくつかある。

1、新聞社が直営したり、管理している新聞販売店が増えていること。かつて新聞販売店といえば個人経営が大半をしめていた。ところが合理化策のもとで、急激に新聞社の販売会社に組み込まれるケースが増えている。

と、なれば次のような戦略が可能になる。

?新聞社が自社経営の販売店に対して「押し紙」をして、ABC部数をかさ上げする。

?ABC部数に準じた折込広告を、クライアントに発注させる。

?折込広告が水増し状態になり、詐欺が成立。

販売店が新聞社の直営や管理になっているわけだから、内部告発される可能性は極めてひくい。???はきわめて現実的な未来予想である。

2、警察が折込詐欺を取り締まらない。

警察は「振り込め詐欺」は取り締まりの対象にしているが、それよりも被害額が多く、日常的に発生している広告詐欺を取り締まる可能性は低い。新聞社と親密な関係にあるからだ。

たとえば日本で最大の印刷部数を誇る読売の関連組織・読売防犯協力会は、読売新聞販売店(YC)と防犯の覚書を交わしている。警察も渡邉恒雄会長の影響力を無視できない。それは新聞人たちが、同氏を重宝がるゆえんでもある。

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毎日新聞が新聞の供給をストップ、網干大津勝原販売店の改廃事件、...

毎日新聞社は、15日、網干大津勝原販売店(兵庫県姫路市)に対する新聞の供給をストップした。店主からの連絡によ...

知覚できない新世代公害の顔、『[窓]MADO』が16日から池袋...

たとえば隣席の同僚が使っている香水が神経に障って、使用を控えるように要望する。同僚は、取り合ってくれない。け...

毎日新聞の網干大津勝原販売店の店主からメディア黒書へ相談、15...

毎日新聞の網干大津勝原販売店の店主から、残紙の負担で新聞の卸代金の入金が困難になり、強制改廃されるリスクが高...

スマホに使われるマイクロ波に発がんリスク、総務省の規制値の何が...

スマホや携帯電話の通信に使われるマイクロ波による人体影響が懸念されている。しかし、日本の総務省は、マイクロ波...

M君リンチ事件から8年、輪郭を現わしてきた司法制度の闇と浅はか...

人種差別に抗する市民運動を進めると自認していると思われるグループ、「しばき隊」が2014年12月17日の深夜...

横浜副流煙裁判をテーマにした映画『[窓] MADO』、16日か...

12月16日から池袋HUMAXシネマズで、映画『[窓] MADO』が上映される。主演は西村まさ彦。監督は、麻...

医師が内部告発、宮田幹夫・北里大学名誉教授の医療行為の評価、化...

糸口が見つかると、そこから連鎖が起きて事件が拡大することがある。煙草の副流煙で「受動喫煙症」になったとして隣...

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西日本新聞に対する「押し紙」裁判の訴状を公開、20年の「押し紙...

既報したように西日本新聞の元店主が、11月14日に福岡地裁へ「押し紙」裁判の訴状を提出した。代理人を務めるの...

2022年10月度のABC部数、朝日新聞は年間で61万部の減部...

2022年10月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞はこの1年間で約61万部の減部数となった...

だれが読売の白石元会長をスイス大使に任命したのか?すでに日本の...

共同通信が興味深い記事を配信している。「白石スイス大使が辞職 元読売新聞グループ本社会長」と題する記事である...

西日本新聞を提訴、「押し紙」裁判に新しい流れ、「押し紙」の正確...

「押し紙」裁判に新しい流れが生まれ始めている。半世紀に及んだこの問題に解決の糸口が現れてきた。 11月...

「押し紙」の経理処理は粉飾決算ではないか?、年間で1000億円...

「押し紙」の経理処理が粉飾決算に該当するのではないかという指摘はかなり以前からあった。実際には販売していない...

しばき隊事件に見る、ツイッターの社会病理 「リンチは無かった」...

詭弁で事実を捻じ曲げる風潮が広がっている。筆者が取材してきた「押し紙」問題では、人権派弁護士が「押し紙」は一...

押し紙弁護団が報告書を公開、西日本新聞を被告とする「押し紙」裁...

押し紙弁護団(江上武幸弁護士、他)は、14日に提訴した西日本新聞の「押し紙」裁判の提起に続いて、最新の「押し...

【臨時ニュース】西日本新聞を提訴、「押し紙」による被害5700...

【臨時ニュース】 西日本新聞の元店主が、「押し紙」で被害を受けたとして14日、約5700万円の損害賠償...

「『しばき隊がリンチ事件を起こした』等は、根拠のないデマ」とツ...

研究者の劣化が顕著になっている。大学の教え子にハラスメントを繰り返したり、暴力を振るったり、ジャーナリストの...

日本経済新聞の「押し紙」裁判と今後の課題── 露呈した公権力機...

2022年7月時点における全国の朝刊発行部数(一般紙)は2755万部(ABC部数)である。このうちの20%が...

ブラジル大統領選でルナ元大統領が当選、ラテンアメリカに広がる左...

10月30日に投票が行われたブラジル大統領選で、左派のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ元大統領(写真左)...

4人のオランダ人ジャーナリストの殺害から40年、元防衛大臣らを...

「戦後処理」とは、戦争犯罪の検証と賠償のことである。現在、進行しているNATO-EU対ロシアの戦争は、いずれ...

新聞に対する軽減税率によるメリット、読売が年間56億円、朝日が...

日本新聞協会は、10月18日、山梨県富士吉田市で第75回「新聞大会」を開催して、ジャーナリズムの責務を果たす...

朝日新聞が399万部に、年間で62万部の減部数、2022年9月...

日本ABC協会が公表した2022年9月度のABC部数によると、朝日新聞は399万部となり、400万部の大台を...

公正取引委員会にインタビュー「押し紙」黙認の姿勢が鮮明に ──...

全国の新聞(朝刊単独)の「押し紙」率が20%(518万部、2021年度)で、卸価格が1500円(月間)として...

タブーなきメディア、MyNewsJapaがリニューアル

MyNewsJapanがリニューアルされた。このウエブサイトに筆者は、2006年から寄稿している。リニューア...

携帯基地局のマイクロ波と「妄想」、隣人2人に同じ症状、

新世代公害とは、化学物質による人体影響と、電磁波による人体影響のことである。この両者が相互に作用して複合汚染...

「押し紙」で生じた不正な資金・35年で32兆6200億、公取委...

2022年7月8日、安倍元首相が旧統一教会に恨みを抱く人物から狙撃されて命を落とした。この事件をきっかけとし...

米国のNED(全米民主主義基金)、ロシア国内の反政府勢力に単年...

米国CIAの別動隊とも言われるNED(全米民主主義基金)が、ロシアの反政府系「市民運動」やメディアに対して、...