国策に全面的に協力する識者たち、池上彰から廣瀬陽子まで、株式投資から世論誘導まで
このところテレビで大活躍している知識人らが次々とフェイスブックの広告に登場して、株式投資などを奨励している。たとえばジャーナリストの池上彰氏は、「リタイア層は現在ある資金を減らさずに運用することが最優先です」と呼びかけ、森永卓郎氏は「私は株で十分なお金を稼ぎ、父を最高の老人ホームに送り、そこで残りの人生を過ごしました」と自慢話を披露し、落合陽一氏は、「新しい時代に磨くべき能力とは何でしょうか。それは、ポートフォリオマネジメントと金融的投資能力です」と露骨に投資を呼び掛けている。
これらの人々による指南は、投資を活性化するという政府の金融政策と完全に一致している。自分の老後資金は、年金よりも自己責任で確保すべきだとする新自由主義の自己責任論の反映にほかならない。
識者を通じて投資がPRされる背景には、社会福祉制度が崩壊に近づいている事情がある。投資に消極的な人は、いずれ行き場を失いかねないという恐怖を喚起して投資に走らせる目的があるようだ。これはわたしに言わせれば、悪質なセールスと同じである。
それをテレビの常連が、ジャーナリストや評論家の肩書で展開しているのである。投資に走らなくても、安心して老後が送れる社会を構築するために自らの職能を活用しようという視点は何も感じられない。日本の社会制度の中に埋没しているのだ。
投資に失敗して、露頭に迷う層が出現する状況は、カジノにのめり込んで自殺に追い込まれる層が現れる状況に類似している。