公取委が「押し紙」問題で中央紙を摘発しない本当の理由、背景にメディアコントロールの論理
警察、検察、公正取引委員、国会など企業や個人に対して特権をもった組織の方針が不透明きわまりない。森友学園事件で、安倍昭恵が何の取り調べも受けない異常が延々と続いている一方で、籠池泰典氏が自由を拘束され、留守になった自宅を競売にかけられようとしている。マネーロンダリングで不正な還付金を受け取った森裕子議員(自由党)に対する刑事告発が不起訴になる一方で、鉄道でキセル乗車をして逮捕されたひともいる。こちらは建造物侵入容疑である。不正な金銭という点では、森氏の方がはるかに高額で悪質だ。
一体、何を基準として物事が展開しているのかまったく分からない。
公正取引委員会の「押し紙」問題に対する取り組みも不透明だ。わけが分からない。中央紙に対しては、一切タッチしないという方針があるのかも知れない。「ゆさぶり」をかけても、最終的には放置する方針があるのかも知れない。
筆者は公取委に「押し紙」の証拠を提出した販売店主を何人も知っている。古い例では、1981年に北田敬一氏(読売新聞鶴舞直売所)が、自店の「押し紙」に関する資料を提出している。これを機に、国会でも「押し紙」問題が取り上げられたのである。
その後も「押し紙」に関する資料は続々と公取委に届いている。新聞社販売局の社員も内部告発のかたちで、「押し紙」に関する資料を届けたと聞いている。公取委は多量の「押し紙」に関する資料を所有しているはずだ。
それにもかかわらず中央紙の独禁法違反を摘発しない。販売店主の自殺が社会問題になっているにもかかわらず動こうとはしない。国家公務員の義務を果たさない人々とは、彼らのことである。